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【斬新な着眼】



→自分にもメリットがある助力を相手から感謝させる方法 ― アメリカにとってのNATO問題を考える〈1999/5/18〉

 「この行為は自分のためになるだけではない。相手にとっても多大なメリットがある」と思ったからといって、相手が運命共同体として協力してくれるとは限らない。「助力提供者にとってメリットあることだから」と片付けられ、相手が思ったような協力をしてくれない場合が少なくないのである。

 上記「ケーススタディ」としてアメリカにとってのNATO問題を取り上げたい。ヨーロッパ経済の発展によって、アメリカ企業の利権がヨーロッパに深く根付くことととなった。したがって、ヨーロッパの安全保障はアメリカにとって他人事ではなくなった。一方、ヨーロッパの軍事力はアメリカにとって決定的に劣る。したがって、ヨーロッパの安全保障はアメリカの助力なくしてはあり得ない。

 ところが、ヨーロッパは自らのヨーロッパ安全保障のための軍事展開についてアメリカに対してそれほど協力的ではないのである。なぜであろうか。だからアメリカはどうしたらよいのであろうか。

 第二次世界大戦後、旧ソ連はベルリンを閉鎖する共に、ハンガリー動乱を軍事制圧するなどをしたために、西ヨーロッパ諸国は震え上がってしまった。そして、暴走しやすいドイツの復活も恐ろしい。そこで、アメリカに頼み込んで、NATOを結成することになった。

 ところが、冷戦構造の終結並びにロシアの弱体化によって軍事的脅威がなくなってしまった。しかも、アメリカの利権が世界中に分散して存在しているのに比べて、ヨーロッパ諸国の利権はヨーロッパの外にはそれほどない。したがって、ヨーロッパ諸国はアメリカに比べて世界の安全保障に対する関心は低い。

 環境が変化したために、アメリカの軍事力に対するヨーロッパの依存度が急減した。しかも、ヨーロッパはアメリカに比べてグローバリゼーションの必要性をそれほど感じていない。こういったことが原因して、ヨーロッパは自らの安全保障のための軍事展開についてアメリカに対してそれほど協力的ではないのである。

 上記「原因分析」を見ると、このようなヨーロッパの考え方が将来においても通用するとは言えなくなることが分かる。

 ダイムラー・ベンツとクライスラーのような国境を超えた合併が常識になりつつあるので、アメリカ並に世界的企業に変身するヨーロッパ企業が増えてくるであろうからである。

アメリカがヨーロッパでの軍事展開においてヨーロッパ側の協力を要請するのであれば、ここにチャンスありである。なぜなら、「ヨーロッパ企業が生きぬくためには世界を股にかけて活躍する必要があるし、現にそうなっている。したがって、ヨーロッパ人の経済権益を守るためには、世界の治安が必要不可欠である」といったようなヨーロッパ市民の啓蒙運動が有効になるからである。

 相手がこちらの助力を感謝しない原因の構造を解明し、その上で、将来の環境変化をしっかりと認識する。自分にもメリットがある助力を相手から感謝させるためにはこのようなシステム思考が必要であることを、上記ケーススタディは物語っているのである。


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