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過去の歩みを生かす再出発を可能にする新創業研究所 E-Mail: info@trijp.com 〒311-1203 茨城県ひたちなか市平磯町414-7 来客用駐車場があります TEL 029-229-0225 |
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![]() 東西冷戦構造の終結は、旧共産圏諸国の膨大な潜在需要と低コスト力という二つの好材料を、自由世界に供給することも意味していました。旧共産圏が日本の製造業の競争相手になるには、相当の時間がかかることを考えると、冷戦の終結は日本の製造業にとって大きなチャンスだったのです。つまり、サービス産業発展に結びつく、事業構造高度化のチャンスがあったのです。 ところが、日本の製造業は系列・終身雇用制度などを主因とする長期コミットメント体制が災いして、事業構造高度化のための再構築はできませんでした。したがって、旧共産圏諸国の市場経済への組み入れは、日本の製造業の市場と低コスト力の両方の提供ではなく、むしろ日本の過剰な供給能力を潜在させるという現象に結びついてしまいました。 経済がバブル化して、日本の工業分野の供給能力が拡大し、同時に、旧共産圏が市場経済に組み入れられただけではなく、工業化が進みました。そして、日本国内ではバブルが破裂しました。かくして、日本経済は一気にデフレ化に向ってしまったのです。日本経済はサービス産業を発展させるチャンスを逸しただけではなく、工業分野の能力過剰という状態に追いこまれてしまったのです。バブルだけが日本経済をデフレに追い込んだ原因ではないのです。 日本経済のデフレ化はごく自然に株価低迷に結びつきました。となれば、米国経済で実現されたような「株価の長期上昇が産業構造の高度化に、産業構造の高度化が新産業創出に結びつく」という図式は実現されようがありません。わが国はますますサービス産業を発展させることができなくなってしまったのです。(逆に異変を利用して成功した企業 ⇒ 『製造業が低収益から抜け出す方法』) 「日本の社会構造は独特だから仕方がない」という嘆きは許されません。なぜなら、似たような事情にあるドイツに鮮やかな変身を遂げた企業があるからです(鉄鋼・造船・工場建設などの事業からなるコングロマリッド(複合企業体)からパッケージ・トラベル事業に変身し、ドイツ産業界の中にあって飛びぬけた株価上昇を享受してきた企業が存在しているのです)。
東西冷戦構造の終結後に日本経済が長引くデフレに沈みこんだ背景には、次の図式が実現したこともあります。 (情報伝達手段の主役がローカル性の強いテレビからインターナショナル性の強いインターネットに転換 + IT関連の技術革新を生み出した米国軍事技術の民間への転用促進 ⇒ 企業間競争を支配するロジックの一大変化) + バブル崩壊後、日本企業は日本の企業は悪化したバランスシート是正にほぼ専念 ⇒ 米国・アップルのような斬新な企画力を売り物にする企業が躍進し、積み上げ的な「カイゼン」力を売り物にする日本企業が衰退。
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