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【斬新な着眼】

 

→製造業が低収益から抜け出す方法(その3) ― GEなどのサービス・ビジネス拡大路線から考える 〈2000/1/21〉

5、グループパワーを目標に向けて結集する

 本業である製造業を強化しつつ、成長性の高いサービス・ビジネスの種をまく。サービス・ビジネスの展開が本業である製造業を一段と強化する。そして、このような相乗効果の高い事業展開が魅力ある夢のサービス・ビジネスの実現に結びつく。

 このような事業展開シナリオを適切に描いても、このシナリオ実現に向けたグループ・パワーの結集がなければ、折角策定した事業展開シナリオは絵に描いた餅となってしまう。それどころか、中途半端な事業展開となってしまって、各事業単位がことごとく競争に敗れてしまうことになりかねない。

 グループパワーを目標に向けてタイムリーに結集する。これが事業展開シナリオに基づく企業経営なのだ。それでは、どうしたら、このようなことが可能になるのであろうか。

◎挑戦力ある人材を集める

 無精卵をいくら暖めても雛は誕生しない。同じことが人材についても言える。社長が企業経営の細部にわたって目配りができる規模や業態であればともかくも、社長がいかに優れていようと、また優れた人事システムを導入しても、育てがえのない人材ではどうしょうもないのだ。

 それでは、「育てがえがある」とはどんな人材を指すのであろうか。大競争時代が到来し、「チャンスは後ろ髪のない禿坊主」の格言が一段と重みを持つようになってきたことを考えると、創造的に挑戦する能力が一番の要件であろう。いかに優等生であったとしても、保守的な性格であると、チャンスが到来しても、マイナス面のみを考え、行動しないからだ。

 GEは上記のことを十分に認識した人材の採用を行っている。学校の成績よりも、信念と競争心が強く、ハードワークを好むことを優先させているのだ。したがって、他の大企業のようなアイビーリーグびいきのところはまったくない。

 但し、折角の人材を採用しても、企業体質が保守的であると、何もならなくなる。あたら人材が社内の風圧でつぶされてしまうからだ。GEはこの点でも抜かりがない。自分の意見を徹底的に主張する。社員一人一人がこのようなことをすることを歓迎しているからだ。

 自己主張が強いだけでは経営の和は保たれない。GEはこの点でも抜かりがない。自分の意見が間違っていることがわかったら、あっさりと非を認める。こういうことをも組織人全員に促しているからだ。

 但し、単細胞であっては、創造的な経営は実現できない。GEはこの点でも抜かりがない。コストダウンを追及させるときなど、同時に前向きの目標を必ず与えるようにしているからだ。

 わが国の伝統的な素材メーカーの経営者は成長の限界にぶち当たり、「メーカーの人間というものは、1円でも1銭でも安くすることだけを考えるように訓練されているので、世の中をきょろきょろ眺めて新しい儲け口を探すような器用なことはできないものなのだ」と嘆くことが少なからずあった。伝統的な日本的経営は企業家精神旺盛な人材養成を怠ってきたとは正反対のことを、GEは行っているのだ。

 上記のような工夫を凝らしても、企業人は同質化してダイナミズムを失いがちなもの。GEはこの点でも抜かりがない。有能な人材を積極的に外部からリクルートしているからだ。

◎社長の思い通りに企業全体を動かす

 ひらめいたチャンスやピンチには間髪を入れない対応が必要。社長がこのようにクイック・アクションをとっても組織がついて来なければ何もならない。GEはこの点でも抜かりがない。次に述べるような工夫を凝らしているのだ。

 社長の指示に直ちに沿う行動がとられても、思惑違いがあったら何もならないどころか、危険なことになりかねない。様々な価値観を持った人間の集合体である組織は意思の疎通を欠きがちであることを、覚悟しなければならないのだ。

 関心のあることしか耳目を捉えない。偏見や固定観念がインプットされた情報を歪曲して捉えさせる。自分の信念をバックアップする情報しか長く記憶に留まらない。人間にはこのような「悪しき知覚プロセス」があることを覚悟しなければならないのだ。

 だからか、GEのウェルチ会長はマネージャーやプロフェッショナルと頻繁に意思疎通を図っている。時には夜遅くなるまでアルコール飲料を飲みながら。

 組織全体が社長と認識を同一にした行動を採り、ピンチを未然防止したり、業績拡大に成功しても、それが待遇に具体的に反映されないと、組織はいずれ動脈硬化をおこしてしまう。人は成績に応じた報酬がないと倦んでしまうのだ。でも、この査定がなかなかに難しい。人は誰しも「総合的には自分が一番」と思いがちだし、査定が常に公平であるとは限らないからだ。どんなに英知に富んだ社長といえども人の子で、過ちを犯すことがあるものなのだ。

 このように重要でありながら難しい査定問題を、GEはマネージャーとプロフェッショナルを毎年5段階に分類することで解決を図っている。第1分類(10%)、第2分類(15%)、第3分類(50%)、第4分類(15%)、第5分類(10%)。中心的なインセンティブはストック・オプション。第1分類は貰えるが、第4分類となると、ほとんど貰えないのだ。第5分類となると、ストック・オプションの対象外であるだけではなく、マネージャーやプロフェッショナルの地位に留まれなくなるのだ。

 ステップ・バイ・ステップで昇進したり、降格したりするので、挑戦目標が絶えないし、敗者復活が可能。そして、第1段階の人はあるべき行動が身についている。こういうことを織り込んだ査定制度であるようだ。

 上記のGEのウェルチ会長によるマネージャーとプロフェッショナルの掌握が組織全体を自在に動かすことに結びつくとは限らない。なぜなら、マネージャー全員が小ウェルチ会長であるとは限らないからだ。そこで、GEは一般従業員にウェルチ会長が必要とする企業文化を叩きこむために、トレーニング・センターで集合教育を行っている。

 ウェルチ会長の一連のやり方を認識すると、GEの従業員は個性を失っていくのではないかと思われるかもしれないが、そうではない。前述したように、非があったらあっさり自説を引っ込めなくてはならないが、自分の意見をはっきりと主張することが全社員に要求されているからだ。

 この個性集団づくりは被買収会社にも適用されている。買収されても、企業名やマーケティング戦略はそのまま。社長すら、GEの全体戦略に協力的であれば、留任できるのだ。

◎企業全体の交流や協力を徹底する

 人材が前向きで、社長の思い通りに企業全体を動かす工夫が凝らされている。その上に、ウェルチ会長の目が行き届いているために、全体の交流や協力はGEの随所に見られる。メディカル部門で開発された遠隔診断技術は航空機や鉄道車両部門でも使われている。 

 航空機や鉄道車両の専門メーカーはコングロマリッドと違ってタイムリーに集中投資をできるという強みを持っているが、遠隔診断技術を先行投資的に開発することは容易ではない。ところが、GEは儲けながら先行投資できるのだ。やり方次第ではコングロマリッドの方が有利な場合もあるのだ。

 GEのグループ・パワー発揮は上記した先端技術面に留まらない。ある部門で次のようなことがあった。上司達が部下の若者からインターネット利用のレッスンを受けていることを耳にしたウェルチ会長はこれを全社的な行事にしたのだ。1週間のうち数時間を若手によるインターネット研修に当てるようにといった具合に。

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