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【斬新な着眼】

 

→製造業が低収益から抜け出す方法(その4) ― GEなどのサービス・ビジネス拡大路線から考える 〈2000/1/28〉

6、基盤事業・製造業を強化する

 基盤事業・製造業の強化を行う場合、バランス感覚が働くと、そこそこの経営行動となる。基盤事業・製造業の強化だけを考えるのであれば、このバランス感覚は歓迎されるべきもの。ところが、基盤事業・製造業の強化を通じて、サービス・ビジネスを生み出したいのあれば、話しは別となる。

 そこで、「サービス・ビジネスの種まきになるべく、基盤事業・製造業の徹底的強化が行う」とする場合の、基盤事業・製造業強化の考え方を以下に示してみよう。

◎品質の優位性を保つ

 製品の競争力は品質・コスト・納期で決まるが、過剰品質でない限り、ライバルに比して品質の優位性を保つことが企業経営の基本。品質の優位性を保つためには、先端技術の製品への組み入れが必要になる。が、それをいつ実施するかのタイミングが問題になる。

 新技術のコストを価格に反映できればよいが、そうでなければ、コストアップとなっていまい、製品の競争力は低下してしまう。だからといって、後追い的に新技術を製品に組み入れると、これまたライバルの後塵を拝することに結びついてしまいかねないからだ。

 このように考えると、他の製品用に開発した技術を当該製品にタイムリーに組み入れるのが理想。メディカル部門で開発された遠隔診断技術は航空機や鉄道車両部門でも使われているといった具合に、GEはこの理想を実現させていたのであった。

 品質の優位性が保たれる製品は市場の拡大や深堀を可能にし、後述するように、その市場内でのサービス・ビジネスの展開に結びつく。

◎ライフサイクル・コスト面で優位性を保つ

 納入した製品は品質が経年劣化しがち。この劣化を防止するためにはメンテナンスが必要となるが、このライフサイクル・コスト面でライバルよりも優位性を保つことは、競争力強化に結びつく。

 この優位性はサービス・ビジネスの展開にも結びつく。このメンテナンスは製品提供企業の方が経験する機会が圧倒的に多いので、製品提供企業の方が顧客よりも品質もコストも優れたものになる可能性が大だからだ。

 そして、納入した製品のメンテナンスを数多くの顧客から引き受けることは後述するように、製品開発力の強化に、製品開発力の強化は市場獲得力の強化に、市場獲得力の強化はサービス・ビジネス展開のチャンス拡大に、それぞれ結びつく。

◎財務支援で優位性を保つ

 顧客が製品購入のための資金をどこよりも低コストで提供できる。そして、顧客が財政的な危機に陥った時は繋ぎ融資できる。(GEはボーイングのエンジンを独占供給するために、90エンジン購入の見返りに財務リスクの一部を負担する契約を結んだ) こういう能力も競争力強化に結びつく。そして、こういう力がつけばつくほど、独立した金融業が営めるようになることは言うまでもない。

◎イメージ・パフォーマンスの優位性を保つ

 自動車の世界でBMWだけが圧倒的な非価格競争力を持っているのはなぜだろうか。逆に多くの車が価格競争に悩まされているのはなぜだろうか。

 「完璧な車である」というイメージを消費者に植え付けているかどうか。いつでも、どこでも買えるものではないという認識を消費者に植えつけているかどうか。こういったことの差があるからだろう。

 車の構成要素は数え切れないほど多い。ということは、消費者は車の良し悪しを客観的に評価しにくいことを意味する。言い換えれば、イメージが大切なのだ。

 いつでも、どこでも買えるものではないという認識を消費者に植えつけるためには、一気に大量生産し、力ずくで売り込むことを止めなければならない。消費者の飢餓感を煽るようなマーケティングが必要になる。

 車にしろ、他の製品にしろ、消費者の抱くイメージの操作や飢餓感を煽るようなマーケティングで卓越した能力を培えば、この能力は独立した事業が営めることに結びつくであろう。

◎マーケット・シェアーの優位性を保つ

 マーケット・シェアーが高ければ高いほど、コスト力が強化できる。それではどうすれば、マーケット・シェアーの優位性を保つことができるであろうか。上記したような非価格競争力の強化はこの実現に自ずと結びつくが、これだけでは不十分。

 マーケット・シェアーの優位性を保つためには、新製品をタイムリーに市場に導入する能力が必要となる。GEの発電機システム部門における製品の50%は5年前には存在していなかったのだ。だからこそ、マーケット・シェアーの優位性を保つことに成功し、その市場内でサービス・ビジネスを展開できているのだ。

 ところで、どうすれば開発力を強化できるであろうか。顧客ニーズを洩れなく汲み取ることが最低必要となる。となると、納入した製品のメンテナンスを数多くの顧客から引き受けることはサービス・ビジネスの種づくりになるだけではなく、開発力の強化にも結びつくと言えよう。そして、開発力の強化はマーケット・シェアーの優位性を保つことを通じて、サービス・ビジネスのチャンスづくりも結びつくのだ。

◎経営合理化力の優位性を保つ

 コスト力の優位性を保つためには、マーケット・シェアーに留意するだけでは片手落ち。経営全体に無理・無駄を省く能力も必要となる。そして、この能力が圧倒的なものであれば、これはこれで専門的能力として、他企業に売り込むことが可能となる。経営合理化力の優位性を保つことは、経営コンサルティングというサービス・ビジネスの展開を可能にするのだ。

 この経営コンサルティングというサービス・ビジネスの展開が他の製品・サービスの市場提供に結びつく可能性を秘めていることは言うまでもない。顧客企業の経営の合理化を成功させるためには、製品・サービスのニーズ把握に結びつく、顧客企業の全貌把握が必要になるからだ。   (完)






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