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→製造業が低収益から抜け出す方法(その1) ― GEなどのサービス・ビジネス拡大路線から考える〈1999/12/17〉

 国内市場が成熟している。開発途上国のキャッチアップが著しい。こんなことが原因して、製造業の多くは価格競争に捲きこまれている。価格競争から脱出するために、新製品を開発しても、簡単に真似られ、新製品開発に要した技術開発コストに見合う収益をあげることが困難になっている。したがって、わが国の製造業は過剰生産能力に悩まされ、低収益を余儀なくされている。

 「だから脱工業化しなければならないのだ」という声が聞こえてきそうだが、わが国のサービス産業は大きな市場ポテンシャルがありながら、停滞どころか、廃業を余儀なくされているところも少なくない。

 「サービス・ビジネスでは高収益をあげることが困難」と諦めるべきであろうか。「否」である。なぜなら、米国に目を転じると、サービス・ビジネスは高収益を謳歌できている製造業が少なくないからだ。

 自動車メーカー「フォード」を例にとると、製造業とサービス・ビジネスの明暗がくっきりしている。利益率を比較すると、製造部門が5%であるのに対して、リース・レンタル・修理・金融などのサービス部門は10〜15%になっているのだ。

 製造業におけるサービス部門は利益率が高いだけではない。先進的製造業は業績におけるウェイトを極めて高いものにしつつある。その典型がゼネラル・エレクトロニクス社(GE)。同社の製造部門はグループ全体の利益の85%を稼ぎ出していたが、1998年には25%に落ち込み、サービス部門がなんと75%を稼ぎ出しているのだ。その多くが金融部門であるとしても、注目しなければならないであろう。

 GEのサービス・ビジネス躍進の背景には、1986年以来の労働力の再編成がある。国内の労働者は半減して、163,000人になってしまっている。ところが、外国の労働者は倍増して、130,000人になっているのだ。わが国の製造業にも似たような事情があるだけに、雇用確保のためにも、製造業は脱工業化を急がなければならないのではなかろうか。

 サービス・ビジネスの市場性は本当に豊かなのか。製造業がサービス・ビジネスを大きく育てるにはどうしたら良いのか。この二つを以下考えてみよう。

1、サービス・ビジネスの市場の前途には洋々たるものがある

 大企業グループ間で市場分割が可能であった。株主よりも従業員の利益を優先できた。こういったことが可能であったために、わが国の企業は低収益の事業部門や低効率の経営機能を抱え込むことができた。ところが、大競争時代が到来したために、このような甘い経営を続けることができなくなった。

 その結果、低収益の事業部門を切り離したり、更には周辺的な経営機能をアウトソーシングし、コア部門に持てる経営資源を集中投資する企業が増えることとなった。

 このような合理に基づいた行動を採るようになりつつあるのは企業だけではない。個人も同じこと。個人であっても世界中の人と簡単に交流できる。したいことや買いたいものが沢山あるが、時間と金にゆとりがない。こういう悩みを抱える消費者が増える傾向にある。(このような消費行動が目立たないのは不況が長引いているからであって、この種の潜在需要は確実に増えているのだ)

 このような高度の悩みを解決するためには、合理的な行動をとるためのコンサルティングを受け、自分にとって本質的なことでないことは他に任せる。こういうことが必要になるであろう。新時代は業務用だけではなく、民生用のサービス需要をも生み出しつつあるのだ。

 地球環境問題もこのサービス・ビジネスの拡大を支援してくれる。なぜか。工業製品の短寿命や使い捨てが地球環境の破壊に結びつくことは周知の事実。したがって、納入した製品のメンテナンス・ビジネスの発展とあいまって、工業製品が長く使われるようになるだろうことは間違いのないところ。 

 そして、この製品の長寿命化がサービス産業の発展に結びつくであろう。なぜなら、製品の長寿命化はユーザーの囲い込みを可能にすることに、ユーザーの囲い込みはアフターケア―を通じて様々なサービス提供を可能にすることに、それぞれ結びつくからだ。

2、中小製造企業でもサービス・ビジネスに進出できる

 ここまでの説明を読み、「製造業がサービス・ビジネスに進出する必要性は分かったが、中小企業では無理」という意見が出てくるであろう。でも、この意見は余りにも消極的過ぎる。事業戦略が適切であれば、中小企業であっても、戦略遂行に必要な経営資源をアウトソーシングすることにより調達し、情報化と市場化の波を利用して大飛躍できる時代がやってきたことを忘れてはならないのだ。

 「適切な事業戦略を策定する自信がない」という向きには事業戦略策定をアウトソーシングすることを、「事業戦略策定をアウトソーシングする財源がない」という向きには成功報酬でコンサルタントを登用することを、それぞれ薦めたい。

 製造業の商品は画一性を免れない。多品種少量生産にしたところでその程度が減じるだけであるので、厳しい価格競争が待ち受けている。ところが、サービス・ビジネスは個々のニーズに全面的に対応できるので、非価格競争が展開しやすい。したがって、その分、高収益が可能になる。

 以上のように考えると、業種や企業規模を超えて、製造業はなんらかの形でサービス・ビジネスへの進出を真剣に考えなくてはならない時代がやってきたのではなかろうか。

3、製造業のサービス・ビジネス拡大化路線を成功させるにはどうしたらよいか

 人の運命が出会いによって大きく変わるのはなぜか。潜在能力を見抜く力や活躍の場の提供力が人によって大きく異なるからだ。同じことが企業にも言える。「わが社は現在このような事業しかやっていないが、将来このようなこともやれるはずだ。だから、こういう手順でこういう事業をやろう」ということを的確に決断できるか否か。これが経営資源が似たような企業が時間の経過と共に明暗を分けることになるのだ。

 それでは、運命的な人と出会わなければ、人はその潜在能力を最大限に発揮できないのであろうか。名経営者中の名経営者が登場しない限り、企業はその持てる潜在能力を最大限に発揮できないのであろうか。「否」である。なぜか。個人や企業を成長分野に誘導できるビジョンが偶発的幸運を必然的な幸運に変える可能性を持っているからだ。

 成長分野に進出したいのが山々だが、経営資源に余裕がない。余裕があっても、熾烈な企業間競争に打ち勝つ自信がない。このような悩みの解決に結びつくビジョンを開発するのは「日暮れて道遠し」の感がある。それに、この問題を解決できたとしても、数多くの人々から構成される組織はばらばらになりかねない。さりとて、締めつけると、挑戦精神が萎えてしまう。どうしたらよいのであろうか。

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