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→新しい試みの成功物語の分析的広報が企業の生き抜きを約束する ― 日本リースの再建物語から考える〈1999/10/8〉

 日本リースは、日本長期信用銀行の経営破綻の影響を受け、史上最大の2兆2000億円の負債を抱えて昨年9月に倒産した。ところが、商権並びに人材の流失を招くことなく、短期間で再建に成功した。リース部門はゼネラル・エレクトロニクスの金融子会社が、不動産部門はゼネラル・モーターの不動産子会社が、それぞれそっくり買い取ったのだ。

 上記したような形での日本リースの再建は日本経済にとって快挙としか言いようがない。なぜなら、企業が会社更生法の適用を受けると、商権が離散し、失業者が輩出されるのが通例である中にあって、日本経済は数多くの倒産予備軍の企業を抱えているからだ。

 立役者は日本リースの管財人であった弁護士。成功要因は大別して二つある。「必ず再建できる」と言って従業員を励ますと同時に、「適切な企業に売却した方が債権保全上有利である」と金融機関を説得した。これが第一の成功要因。  

 横並び経営が行われている世界では、同業者間の決定的な差がないし、「職業は○○会社のサラリーマン」といった具合に、多くの従業員は余所でも通用できるような能力を培っていない。したがって、会社更生法が適用されると、上記したように、次々と商権が失われていき、従業員は行き場を失いがちであるのが通例であるので、管財人が信用保全にまず手を打ったのは実に適切であったと言える。

 日本への進出に魅力を感じている米国の企業に目をつけて、競争させ、有利な売却を行った。これが第二の成功要因。

 日本は先進国中ダントツで外国企業の進出が遅れている。日本に魅力がないのではなく、長期コミットメント体制や割高な不動産が障害となっていたのだ。ところが、長期不況により、この障害がなくなりつつある。しかも、米国の企業は長期好況により、資金力を蓄えに蓄えてきた。したがって、米国企業に狙いを定めたのは「魚心に水心」の原理を適用したものなのだ。

 米国企業に狙いを定めたとしても、知り合いに話を持っていくのが伝統的な日本流のやり方。ところが、売却先を幅広く求めると共に、「いついつまでに良い回答がなければ別の企業に話を持っていきますよ」といった具合に競争原理を適用したのだ。

 日本リースの再建物語は「信用保全のための説得並びにグローバル・スタンダードな取引を行ったからうまくいったのだ」と片付けてよいのであろうか。「否」である。

 自社の特徴を世界中に幅広く知らしめる。開放的な企業体質にする。企業が生き抜き続けるためには、この二つを実現させなければならない。唐突に思われるかもしれないが、このような教訓が日本リース再建物語から得られるのではなろうか。

◎自社の特徴を世界中に幅広く知らしめる

 日本リースは取引先や従業員などのリソースをゼネラル・エレクトリックスやゼネラル・モーターの子会社が有効活用できて、日本リースが有効活用できなかったのはなぜであろうか。資金力だけではなく、リソース活用能力の差があるからだ。

 窮地に陥った場合、状況が同じであるにもかかわらず、Aさんは巧く切り抜けることができるが、Bさんはそうではない。それから、「人間の運命は出会った人次第である」ということがよくあるなど、リソース活用能力の差は上記したような場面だけに見られることではない。

 どうしてリソース活用能力差が生まれるのであろうか。視野の広さ・問題意識・洞察力・認識あるい提供できる活躍の場などは企業や人によって大きく異なるからだ。

 ということは、企業も個人も「潜在能力の一部が利用された結果が今の事業や人生なのだ」と考える必要がある。幸運であっても、もっと幸運になれる。不運であっても、不運に甘んじる必要はないのだ。

 それでは企業や個人の潜在能力を幅広く知らしめるためにはどうしたらよいのであろうか。企業について言えば、新規事業・新製品(サービス)開発の成功物語を分析的に広報し続けるべきであろう。マスコミが取り上げてくれなければ、インターネットを活用して。個人でも、積極的人生を送りたければ同じことが言えるであろう。

 上記の考え方が正しいとすれば、新規事業・新製品(サービス)開発の成功物語を分析的に広報し続けることを、請け負う専門業者が必要な時代がやってきたのかもしれない。

◎開放的な企業体質にする

 上記したような広報活動を行うためにも、また広報活動の結果生まれるであろう、他の企業や外部の人材からのタイアップの申し出に対して門戸を開放するためにも、企業体質は閉鎖性を完全に打破し、開放的にならなくてはならないのは言うまでもない。



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