(理由1)日本の伝統的ビジネス・モデルは新時代が求める能力を持っている社長を育ててきませんでした。潜在能力を顕在化させることなく齢を重ねてきてしまっていることがほとんどなのです。このことは次代の社長候補についても言えます。なぜなら、行動力はあるものの、その前提となる「何を目指すか」という目標設定に迷いを生じているという調査結果があるからです。
(理由2)日本の社会には絶対的権力者を排除する風土があります。したがって、強力なリーダーシップの発揮は容易ではありません。(大英断をすると、「ファッショだ」という声がすぐに出てくること、それから「この人は」と思われる傑物が組織の長に上り詰めずに終わってしまっていることが多いことを思い出してください)
(理由3)日本人は方向転換がきわめて不得意です。したがって、トップダウンに代わるボトムアップにはあまり期待できません。
古代は中国、明治以降は欧州先進国、戦後は米国といったように模倣の対象に事欠きませんでした。したがって、「カイゼン」の域を超える創造性は必要ありませんでした。このような状態で一番好ましいのは決して先走らないことです。こういう習慣が遺伝子のように染ついていますので、「鶏が先か卵が先か」となってしまうのです。
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