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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第5部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─ (ノンフィクション編)

性格無知 + 環境様変わり ⇒ 順調だった人生の暗転…ということもある

ポジショニング手法の適用を怠った→新しい立場の覚悟が不十分になった→臨機応変力を再構築しなかった→政権を投げ出すに至った…となった安倍元首相

2011.6.10(2016.8.2更新)
新時代の担い手づくりに狙いを定めることが安倍元首相の大成を可能にする

政治は日本列島全体のダイナミズム促進に舵を切らなければならない ── 総合的・並行的学習が創造力の源なのだ ──

終身雇用制度は過去の遺物になりつつあることに気づかなければならない

(節子) 「先進国の消費不振打開の決め手はエンドレスのハイエンド化を可能にするプロフェッショナルの輩出である」とする貴方の一貫した主張と関係することで聞きたいことがある。

 残業する人がほとんどいない。その上、夏休みを約一ヵ月間とるのが常識みたいになっている
イタリアは3・11ショック以前に一人当たりGDPで日本を抜いたことがあるそうよ。この秘訣は「楽天的で活力がある ⇒ わくわくどきどきするものを創る ⇒ 高付加価値を生み出す」という図式にあるようだけど、日本ではこうなりにくいのはどうしてなのかしら?

(高哉) 斬新なことをやろうとすると、足を引っ張られがちとなる。さりとて、斬新なことをやるために新天地に脱出することも容易ではないからだ。この背景に次の図式がある。

 ほぼ一直線での成長が可能であった時代が長く続いた ⇒ 日本モデル、つまりタコツボ型社会が根付いた ⇒ 「何ができる人なのか?」ではなく、「どんな人なのか?」が問われがちな風土ができあがった ⇒ 脳力・能力を売り物にする転職が容易ではなかった ⇒ 流れに任せて生きていく限り脳力革命の方法とはほぼ無縁にならざるを得なくなり、身を守るために既得権益意識が高い人が増えた。

(節子)
こんな状態が続いているから日本は一人当たりGDPでイタリアに抜かれてしまった。こういうことになるけど、貴方は斬新なことをやるために新天地を求め続けて成功したじゃない。同じ日本の中でよ。これってどう解釈したらいいのかしら?

(高哉) 僕の中に新しいことに挑戦するリズムが早々とできあがっていたことが幸いしたからだ。人間はリズムの動物であることを考えると、これは大きい。

 僕は小学生時代から大胆な遊びを次々と開発した。小川を堰き止めて水をかきだして魚を手づかみにしたり、ターザンの真似をして木の上に家を作り、蔦を使って木から木への空中移動したり、色んなことをして遊んだ。こうした経験が新しいことに挑戦するリズムに結びついたんだと思う。

(節子)
子供の頃からチャレンジャーだったことが幸いしたことはよく分かる。社会人になってからの挑戦の失敗は致命傷に結びつきかねないので、身がすくんで脳のリミッターがかかったままになってしまうものね。でも、そのままだと、さっき貴方が指摘した図式から永久に抜け出すことができない。どうしたらいいのかしら? そうか、性格発衝動強迫を適切に活用することを可能にする個性的才能を引き出す性格診断を受ければいいのね。

 この診断が新しいことへの挑戦力を身につけることの必要性を痛感している社会人のために聞きたいことがある。

 「今の会社に一生勤めようと思う人の割合」について「2000年 20.5%  2008年 47.1%」という日本生産性本部の調査結果がある。

 これは貴方がさっき指摘した図式からの脱却を困難にするように思える。でも、一方においてタコツボ型社会に結びついている終身雇用制度が功を奏している企業がある。業績が上昇し続けて80%の市場シェアを握るに至った長野県の寒天メーカー「伊那食品工業」がそうだけど。終身雇用制度の是非とからめてこの企業の成功の秘訣をごく簡単に説明してくださらないかしら?


(高哉) 寒天の特性を応用できる市場が沢山ある。とはいうものの、この市場を探し出して成功を収めるためには執拗さが必要不可欠。この執拗さを発揮させることに終身雇用制度が一役買ったんだと思う。というのは、終身雇用制度は愛社精神に、愛社精神が寒天の新しい応用先を執拗に探し出すことに結びつきやすいからね。

 画期的な開発の成功ではなく、新市場の発見・創造をこつこつ行うことに生きがいを感じる社員が揃っていることも幸いしたんだと思う。

(節子) 貴方が今言ったことは「人材リクルートは業種業態に合わせて行わなければならない」という教訓に、この教訓は「人を見て法を説く」経営を可能にする個性的才能を引き出す性格診断の必要性に結びつくわね。 それはそれとして伊那食品工業のようなことができる企業は少なくなってきているんじゃないかしら?

(高哉) そうだね。産業基盤が成熟するに伴って自社の得意技術が他社にとって垂涎の的である度合いが少なくなっていくからね。伊那食品工業が事業展開の方法として採用してきたプロダクトアウト・アプローチだけではなく、

 経営システムの変革を通じて戦略的に必要不可欠な能力を先行投資してとりこむ「プライアーインベストメント・アプローチ」や実績に基く信頼関係を武器に活用して、戦略的に必要不可欠な能力をとりこむために現有市場を深耕する「マーケットイン・アプローチ」を臨機応変に組み合わせていく必要がある。こういう努力なくしては成長を持続できなくなってきた。(詳しくは ⇒ 『企業変身のための三つの方法』)

 ということは終身雇用制度が促進しやすい枠内思考の達人だけでは生き抜くことができない企業が沢山あることを意味する。→陳腐化した枠内思考から脱却しないと生き抜くことが困難な時代になった

(節子) でも、日本全体のことを考えると、年功序列を伴う終身雇用制度は必要じゃないかしら? というのは、高額の住宅取得費と高等教育費は加齢に応じて所得が上がることを前提にしており、これを改めるのは容易ではないから。しかし、終身雇用制度が促進しやすい枠内思考の達人だけでは生き抜くことができない。・・・・・どうしたらいいのかしら?

(高哉) 年功序列を伴う終身雇用制度を止めることは 一朝一夕にはできない。しかし、終身雇用制度にしがみつくことは日本の衰退に拍車がかかることを忘れてはならない。というのは、次に示すように環境が様変わりしたからだ。

●終身雇用制度が道理に適っていた理由

 ほぼ一直線での成長が可能であった ⇒(人口が増加し続けた ⇒ 次世代にチャンスを与えることに結びつく定年制が必要であった) +(試行錯誤を伴ないがちな創造よりも整斉粛々と動くことが組織人に求められた ⇒ 加齢に応じて脳力を進化させる意欲は生まれにくくなった) ⇒ 中途退社を不利にする年功序列式賃金体系や退職金・企業年金制度が根付いた ⇒ 転職がモーツアルト効果を生み出しやすいことに注意が向かなかった ⇒ 終身雇用制度が社会に幅広く普及した。

●終身雇用制度が道理に適わなくなる理由

 ほぼ一直線での成長が不可能になった ⇒ 人口が減少に転じた + 創造力の必要性が急拡大した ⇒ 年金問題もあり、生涯現役を可能にする加齢に応じた脳力進化の必要性が急拡大した。

 同じ組織に十年一日の如く勤めることは脳力・能力の継続的な進化にとってマイナスになることを忘れてはならないことを強調したい。(関連記事 ⇒ 『先が見えない閉塞状態に陥る図式脳力革命の方法』)

(節子) 技術革新のことを考えると、マンネリズムに陥ったままだと、生きていくことが難しくなるということもあるわね。

  (2015年4月1日のTwittter)  
予測「人間の知能を遥かに超えた能力を持つAIが近い将来誕生するのは確実」を前提にしなければならない時代になった。「新技術開発はスーパーコンピューターではNO、特定人のみがOK」を励みにして臨機応変の全体知を可能にする勘を磨き続けよう!
http://www.trijp.com/keizai-saisei/section1.shtml

(高哉) 臨機応変の全体知を可能にする勘を磨き続けるためには、「解答を見つけるために読書する」のではなく、「解答を創り出すために読書する」といった具合に染みついた摸倣癖から抜け出さなくてはならない。いいかえれば、専門家を初め日本人に潜在しがちな致命的弱点を克服する努力をしなければならない。難問解決を願う人に適用する渡辺高哉の特技そのためにある。

社会を幅広く横断する人的交流は万能薬のような効果がある

(節子) 終身雇用制度は「朱に交われば赤くなる」となることに、このことは個性が徐々に埋没していくことに結びつく。したがって、終身雇用制度は過去の遺物になりつつある。こうなるんでしょうけど、このことは個人主義を助長しなければならないことを意味する。これって現実的なのかしら? 脱工業化が進めば進むほど人的パワーへの依存度が高まることは理解できるけど、何か釈然としないものがあるの。

(高哉) 日本人のほとんどに当てはまりそうな「閉塞状態に陥っている ⇒ 縮こまっている ⇒ 個人主義の助長は容易ではない」という図式を考えると、僕の言っていることは理論倒れになるように思われても仕方がない。でも、その考えは間違っている。そのことに自分で気づいて欲しいために聞きたいことがある。現代社会と戦国時代の決定的な違いはどこにあると思う?

(節子)
現代社会は通信・交通手段が発達しているので社会を幅広く横断する人的協力体制を比較的築きやすい。戦国時代はこの逆。・・・・・貴方の言いたいことが分った。戦国時代の特徴を図式化すると、次のようになる。

 社会を幅広く横断する人的協力体制を築くのに気が遠くなるほど時間がかかる + いつどんな敵が攻めてくるかが分らない ⇒ 部族だけで外敵の襲来に備えなければならない ⇒ お互いにそうだから日本は統合に程遠く群雄割拠の状態であった ⇒ 武力充実並びに集団凝集力を高めるための個の抑制が各部族の至上命令化した。

 こういう宿命的な特徴がなくなったのが現代社会。というのは、その気になれば次の図式を実現させることが可能になるから。

 住民基本台帳カードのようなものがある + 通信・交通手段が発達している ⇒ お互いの信頼関係を築きやすい ⇒ 人間関係をウチと外に明確に分けてウチの人間が結束してソトの人間に対して身構えなくてもよい ⇒ 武力充実並びに集団凝集力を高めるために個を抑制する必要はない ⇒ 人間が持っている「従属者ではなく主役になりたい」という本能が大きく浮上する ⇒ 個人主義が世の中に幅広く浸透していく。

(高哉) ピンポン! 大当たりです。デジタルネイティブが増えれば増えるほどこの可能性に拍車がかかる。 こういう時代になってきたことを忘れてはならない。

(節子) 「脱工業化が進めば進むほど人的パワーへの依存度が高まることは理解できるけど、何か釈然としないものがあるの」という私の前言は撤回します。社会構造がタコツボ型からネットワーク型に転換していくことを考えると、違いを認める力があるだけではなくきらっと光る個性的才能も必要になる。この二つは信頼関係を築くために必要不可欠だから。

 ということは、「いい人生を送りたければ、個性的才能を引き出す性格診断を受けよう!」ということになるんだけど、きらっと光る個性的才能の持ち主が経済的に恵まれるとは限らないような気がする。というのは、モノづくりがうまいが経済的に恵まれていない人がいるもの。

(高哉) 綿よりもCo2を4倍吸収。そして、使い古したものは地に帰ることができる抜群のエコ性がある。しかし、世界の90%を生産しているにもかかわらず搾取されているために生産従事者は貧困に悩まされている「バングラデッシュのジュート」のようになってしまっている人が少なくないのは事実だ。

 そして、そういう人が「日本モデルが崩壊する + デジタルネイティブの時代になっていない ⇒ 孤立無援状態に置かれてしまう」という図式に陥ってしまう。こういうことを言いたいのはよく理解できる。でも、貴女の危惧の念には社会構造がタコツボ型からネットワーク型に転換するという認識が抜けている。

 こういう時代に必要なのは相手を惹きつける力。そのために必要になるのが秘めた個性的才能の練磨並びに違いを認める力を培うことに結びつく個性的才能を引き出す性格診断なんだ。(関連記事 ⇒ 『時代はプルのマーケティング力を必要としている』)

(節子) そういう認識を持つ人が増えるんでしょうね。というのは、自分が所属する集団以外の人々とのつながりを求めてツイッターにはまっている人が増えているけど、「きらりと光る才能と違いを認める力がないと、知り合った人を惹きつけることができない」となる可能性があるから。でも、可能性に留まらせないためにはきらっと光る個性的才能の持ち主になる努力は報われるようにならなくてはならない。

 デジタル・ネイティブの時代になっていなくてもアメリカのような労働市場があればその努力は報われるかもしれない。でも、そうなるためには、人材のニーズとシーズを社会横断的にすり合わせることが当たり前になっている必要がある。現実はそうなっているとは言い難いのはどうしてなのかしら?

(高哉) 自分の秘めた才能を積極的に磨いてきた人が少ないので、すり合わせに値するシーズが少なすぎる。「氏名を伏せて膨大な数の履歴書を公開したけど、興味を示した企業はほぼ皆無だった」と言っている人材会社の経営者がいることが何よりの証拠だ。その上、経営者が次のような状態に陥っている場合が多すぎるからだと思う。

 「閉塞状態を脱出するためにはかくかくしかじかの事業をしなければならない。そのためにはかくかくしかじかの人材が欲しい」というような状態になっていない。その上、過去の延長線上を歩むことだけを考えていたことがマンネリズムを生み、このマンネリズムが人材の個性的才能を見抜くことを困難にしている。(関連記事 ⇒ 『老害発生の仕組み』)

(節子) 脳にリミッターがかかったままになっているので、現実直視力が欠如したままの経営者が多いことはよく理解できる。そこで、お願いなんだけど、「そんなことでは時代に取り残されるてしまう」ということをばしっと言ってくださらないかしら。

(高哉) 経済的な苦難から抜け出すことができなくなってしまった背景には次の図式があることを認識しなければならない。このことをまず言わなくてはならない。

 (ほぼ無限の工業化の可能性があった ⇒ 一定の小さな枠の中での臨機応変力で事足りた ⇒ 日本モデルが根付いた) + 世界金融危機の真相が証明したように工業化が限界に達した ⇒ 閉塞状態に陥ってしまった。 ── こういうことは随所で指摘してきたけど、口が酸っぱくなるほど繰り返さなければならない。

(節子)適切なジグソーパズル思考力が永遠の成長を可能にする』と『永遠の経済成長を可能にする秘訣』を読めば、全世界を股にかけた社会横断的な人的交流が持続的な経済成長に結びつくことは理解できる。でも、次の図式のことも考えなくてはならない。

 先行きがどんどん不透明になる + 終身雇用制度はなくなっていく ⇒ 臨機応変力の欠如が露呈される ⇒ 失業を余儀なくされる人が増える。(関連記事 ⇒ 『世界経済の超バブル崩壊克服のために日本が採るべき決め手&働く人を取り囲む環境』)

 日本モデルの崩壊が進めば進むほど、社会が混乱してしまう。どうしたらいいのかしら? 夢みたいな話だけど、所属組織ではなく国が終身雇用を保証してくれれば一番いいんだけど。

(高哉) その夢みたいなことに近いことをやってのけている国がある。フレキシキュリティを採用しているデンマークがそうなんだ。でも、「だから、自分の将来は国任せでいい」とは決してならない。重要性が増す一方のコミュニケーション能力のことを考えれば納得できるはずだ。ということは、幸せな人生を送りたいのであれば、適切な方向で“好きこそものの上手なれ”の世界に入ることが生み出す効用入手を心がけなければならない。


東京一極集中の進展→観光産業の振興→社会横断的人的交流の促進…となる

(節子) 私がさっき「個人主義が世の中に幅広く浸透していく」と言ったことに戻るんだけど、日本は『わが国は平和革命前夜のような状態にあることを認識する』にあるよりももっとひどい状態になるような気がする。

 というのは、財政破綻寸前になったことが税金や社会保障費の増加に、この増加が「国は与えるよりも収奪する存在だ」と思うに至っている人の増加に、この増加が国の求心力低下に結びつくと思うから。このような状態を放置し続けると、社会秩序は一段と乱れてしまう。「国家は本当にありがたい存在だ」となるような手立てはないのかしら?

(高哉) 国家が国民を束ねる力を持つ形で国の求心力を生み出す考え方は時代遅れだよ。(関連記事 ⇒ 『地殻変動』)日本モデルが醸成したタコツボ型社会から自立と自律力のある個人を主役に据えたネットワーク型社会への転換を急がなければならない。この転換が進めば進むほど、人々の相互依存の度合いが拡充して犯罪が発生しにくくなるからね。

(節子) 人々の相互依存の拡充はものすごく大事であることはよく分かる。犯罪を発生しにくくするだけではなく、大きな経済効果を生み出す可能性を秘めているから。(根拠 ⇒ 『適切なジグソーパズル思考力が永遠の成長を可能にする』と『永遠の経済成長を可能にする秘訣』) でも、人々の相互依存が自然に拡充することに結びつく何かがないと、空理空論になってしまう。

 提起済みの『ケインジアン・マネタリアンを糾合できる斬新な経済政策を推進しよう!』や『ネットワーク化されたレタスビシネス』が大きな成果をあげるためにはきらりと光る個性的才能と違いを認める力を持った人が国内に満ち溢れていなければならない。こうなることのために政府が直接関与しにくい。

 各地方社会が個性的街づくりをすれば、これが観光資源になり、社会横断的人的交流が進むだろうけど、あまりにも高すぎる交通費がネックになってしまう。どうしたらいいのかしら?

(高哉) 東京でビジネスをしたがる外国人が多い。これを武器に用いて日本でビジネスをする人を急増させる。これが社会横断的人的交流促進の突破口になるんじゃないかと思う。3・11ショック以来東京離れが進んだけど、「関西にオフィスを移転するよりも賃料節約に結びつく在宅勤務を奨励した方が得」となりつつある。東京には国際空港化した羽田という切り札があるからね。したがって、東京一極集中の促進は長期的には揺るがない。

(節子) 地下鉄が縦横無尽に走っている。地上には山手線と京浜東北線などもある。こういう鉄道網に囲まれた丸の内、大手町などがそうであるようにコンパクトな街が実現されている。 ── こういうことを考えると、東京でビジネスをしたがる外国人が多いのはよく分かる。でも、オフィスビルの量的限界にたちまちぶつかってしまうんじゃないかしら? 駅から遠く離れた所だとビジネスに不便だし。

(高哉) さっき言ったように在宅勤務が増える。その上、山手線と京浜東北線を跨ぐようなような形で細長い高層ビルを建てるという奥の手だってある。したがって、オフィスビルの量的限界は克服できるんじゃないかな。

(節子) 地方振興が叫ばれている時代に東京一極集中を更に進めるというのはどうかしら? 日本のリスクマネジメントを無視することになるわよ。

(高哉) 品川を発着駅にするリニア・モーターカーが近い将来必ず出現することを考えると、東京一極集中は進まざるを得ない。(関連記事 ⇒ 『東京超一極集中を前提とする日本列島の将来像』) 日本のリスクマネジメントはこれを前提に考える必要がある。社長という頂点を持つ企業経営のあり方をヒントにすればいいんじゃないかな。

(節子) 社長が超ワンマンであると、社長以外の企業人には自立と創造力が培われない。こういう場合、社長が倒れると、その企業は一気に崩壊に向かいかねない。同じことが日本国の運営にも当てはまるというわけね。

(高哉) そうなんだ。国・地方自治体・企業の中央集権体制を止めてできるだけ数多くのセクターから次の三つの行動が引き出せるようにすることが今の時代に相応しい日本のリスクマネジメントだと思う。

情報格差の最小化に向けてクラウド・コンピューティング・システムを活用する。
国内外の横断的な相互依存関係の拡充に向けて日本人特有の閉鎖性を改める。
判断力の強化に向けてオンライン意思決定システムを活用する。

(節子) 全員参加型社会を実現させようというわけね。ひたひたと押し寄せてくる無極化時代への備えという意味で素晴らしい考え方だと思うけど、進展する東京一極集中とどういう関係になるのかしら?

(高哉) 無極化時代の申し子であるデジタルネイティブが増えれば増えるほど
IT駆使を前提としたオフィスレスや在宅勤務が常識化する。こうなっても、大勢の人が時には一堂に会して濃密なコミュニケーションを行う必要がある。この時に便利な存在になるのが超一極集中した東京の存在。

(節子) 無極化時代は東京に多大な恩恵をもたらすわね。東京以外はどうなるのかしら? 格差が一段と広がることを恐れての質問だけど。

(高哉) 東京だけが得するわけではない。地方にも恩恵をもたらすと思う。というのは次の図式も実現に向かうだろうからだ。

 (東京人の週日生活は超合理的になる ⇒ 自然回帰本能が高まる) + (東京人は高所得者の割合が高い ⇒ 高い交通費を個人負担できる可能性が高い) ⇒ 個性的な街づくりに成功した地方社会を観光で訪れる。

(節子) 地方社会、特に過疎地帯が農業革命の拠点になれば、長期滞在の観光客を呼び込むことが可能になる。そうすれば、高すぎる交通費吸収力は更に高まるわね。

(高哉) その先には、「各駅の昼間人口が急増する ⇒ 交通機関は急増した昼間人口を活用した事業の多角化を行うようになる ⇒ 稼働率上昇もあいまって交通費の引き下げが可能になる ⇒ 昼間人口が更に増えるので事業の多角化が更に進む ⇒ ・・・・・・」といったような好循環の実現が待ち受けている可能性がある。

(節子) その説明、日本の未来を明るくしてくれるわね。というのは、次の図式が実現しやすくなるんだから。

 交通費が大幅に引き下げられる ⇒ 社会横断的な人的交流が進む ⇒ 経済成長の持続力が強化される(根拠 ⇒ 適切なジグソーパズル思考力が永遠の成長を可能にする永遠の経済成長を可能にする秘訣

(高哉) 貴女が今提起した図式が全ての人に等しく恩恵を及ぼすわけではない。というのは、社会横断的な人的交流の拡充は労働市場の統合に結びつき、企業や市場が要求する脳力・能力を提供できない人には仕事が回ってこない。仮に回ってきたとして代替可能であるが故に低賃金、かつ不安定な雇用が待ち受けているからだ。
きらりと光る個性的才能と違いを認める力を持ち続ける人だけがいい思いをするようになることに留意しなければならない。





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