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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

性格無知が最強のコンビ形成を妨げてしまった

2008.5.18

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

二人にはすれ違いが生じやすいものが元々ある

お互いに本当のところは理解しあっていなかった

(節子) 梯二郎と百子はお互いに惹かれあっていた。にもかかわらず、直ぐにぎくしゃくしてしてしまうことが多かったのはどうしてなのかしら?二人は相補える特徴の持ち主なのによ。

(高哉) 梯二郎が渡米することを百子だけが知らなかった。彼女は梯二郎に対して激怒した。この事件を例に採って説明しよう。

 梯二郎は外資導入の交渉のために渡米した。このことを知っていた中川京子と倉沢時枝は空港で梯二郎を見送っている。ところが、百子はつんぼ桟敷。梯二郎にとってこの百子は海上カジノをメインテーマとする夢の歓楽境構想実現のためのキーパーソン。気を使わなければならない人。したがって、梯二郎が百子の性格を理解していれば、百子に事前に渡米のことを話さないわけがない。

(節子) あの一件は戦略発想をして事業目標達成のために必要な経営資源を巧みに調達する達人らしくなかった。したがって、「梯二郎は百子の性格をきちっと認識できていなかったから」という貴方の理解は正しいのかもしれないわね。

 確認のために聞きたいんだけど、百子は自分だけがつんぼ桟敷に置かれていたことを知って激怒した。この理由を理路整然と説明してくれないかしら?

(高哉) 百子はこれまでの議論の中で明らかにされているように創造的な才能とは裏腹の関係で凄くデリケートな人物。したがって、次の図式が激怒に結びいたのだと思う。

 自分だけがつんぼ桟敷に置かれていたことを知った ⇒ この事実をこれまでの人生経験に照らし合わせて解釈しようとした ⇒ 自負している才能が認識されていないために無視されたり軽視されたことが 自分の人生で度々あったことが思い出された

 ⇒ 「梯二郎が自分の才能を高く評価しているような態度を示してきたのは女としての自分を惹きつけ続けるためではなかったのか」という疑念が鎌首をもたげてきた ⇒ これまでの好感情の反動も手伝って有能感が著しく損なわれた。

 百子の心中には「自分の才能を高く評価してくれている梯二郎だから自分の身体を担保にしてまでお金を借りたのだ。なのに…」というものがあったことも十分考えられる。彼女は「お金を借りられさえすれば相手は誰だっていい」なんてことを決して考えない人間である。こういうことがあったかもしれないことを忘れてはならない。

(節子) かくして生まれた激しい感情を利用して百子は梯二郎を裏切ったのね。独立の準備が着々と進んだ背景で説明した、氷室がバー「ボヌール」の所有権を梯二郎から自分に移す画策を百子に頼んだ例の一件よ。

 梯二郎から契約金として貰った、300万円(現在価値で約3000万円)で買い取った土地家屋の値上がり分の半分が欲しいのは山々。しかし、氷室の頼みを聞き入れると恩人である梯二郎を裏切ることになる。悩んだと思う。こういう時は強い後押しがないと気持ちを吹っ切ることができないもの。この悩みを一気に解決してくれたのが梯二郎に対する激しい怒りだった。百子はこの激しい怒りが後押ししてくれたために金儲けに走ることができた。こういう理解でいいんでしょ?

(高哉) そうなんだよ。ところが、梯二郎は百子のこのような気持ちを全く理解できていなかった。梯二郎がアメリカから帰国して一番に百子を訪ねた後のラブホテル騒動がこのことを如実に物語っている。

 愛情を示せば、百子は考えを変えると思って彼女をラブホテルに連れて行こうとした。百子は「自分の気持ちが理解されたからこその誘いだ」と思ったので、付いて行くことになった。ところが、ラブホテルで向き合ってみると、お互いに期待外れであることが判明。梯二郎は百子を売春婦扱いに等しい言動を採るという最悪のことをしてしまい、二人は喧嘩別れになってしまった。

 洋裁店「ボヌール」を突然訪ねた梯二郎が百子が氷室と異常接近しているのをガラス越しに見て、暫くしてから何もしないで帰る時の捨て台詞も同じこと。

(節子) 梯二郎が「夜は気をつけるんだな。カーテンをしたら邪魔されないように内側から鍵をかけておくんだな」と言ったことでしょ。この言葉に百子が逆上したのは氷室と異常接近していたのは偶然のことであって、百子にその気は全くなかった。にもかかわらず、誤解された。こういうことだけではなく、「女を武器にした」と梯二郎に受け取られたので、一番大事にする有能感が著しく傷ついたことがあったことは理解できる。

 でも、百子は女を武器にすることがあったじゃないの。こういう女性が「女を武器にした」と梯二郎に受け取られたことであんなに激怒するのはどうしてなのかしら?

(高哉) 梯二郎をビジネスの先生扱いにしていることから窺われるように百子は自分の能力不足を自覚している。その上、世の中は男社会であるので女性が活躍しにくい。となれば、女性が飛躍するためには女を武器にすることは許されて当然である。でも、有能感を大事にする人間としては女を武器にすることに気が引ける。この気が引けることに触れられたからだと思う。

(節子) 百子の気持ちは凄く分かる。人間には認めているけど、認めたくないことってあるものね。でも、百子だって梯二郎のことが分かっていなかったじゃないの。

 思うようにならない時のストレスの溜まり方は尋常ではない。その上、不快なことを心の中に溜めることができない。となると、気持ちをすっきりさせるための思い切った暴言をついつい吐いてしまう。──こうなってしまうのは梯二郎の性格のなせる業であって他意は全くないと思うの。このことが分かっていないから百子はカリカリしてしまうのよ。

(高哉) 二人とも直情径行型の人間だけど、その反面、凄くデリケートなので、お互いにモニタリングして、モニタリングの結果に基づいて直ちに誤解を解かなければならない。そうしないと、ぎくしゃくした関係が続き、人間関係を根本的に損なう「マイナスの感情傾向の悪化」という状態になってしまうからね。

二人とも気が変わりやすくさっと引いてしまうので、誤解を解きようがなかった

(節子) お互いにモニタリングして、モニタリングの結果に基づいて直ちに誤解を解くなんてことは二人にとっては不可能よ。二人とも気分がさっと変わるだけではなく、踵を返すように次の行動に移ってしまうんだもの。ラブホテル騒動の時のようなことはしょっちゅうだったじゃないの。

(高哉) そうだね。他の人間に対してもそうだった。梯二郎は中川京子をその気になって食事に誘ったけど、その気にならなくなって彼女を車に乗せて自宅に返してしまったことがあったね。

 百子だって似たようなものだった。大分前の議論の繰り返しになるけど、自分が住んでいるアパートで梯二郎を夕食をもてなそうして準備中に不意の来客。この来客が「僕は独りで帰るよ」と気を利かしてくれたのに「独りにして」と言ってしまい、せっかくのデートをおじゃんにしてしまったことなんかがそうだ。

 この不意の来客と梯二郎が生き方を巡っての口論があったにしても気を取り直すなり、話し合いをするなりしてもおかしくはない。ところが、その余地は全くなかった。

(節子) 嫌なことは心に溜めない。これを確実にするために次の行動にさっさと移るのが梯二郎。追求・確立したピンポイントのアイデンティティにしたがって断固とした態度を採るのが百子。こういう特徴を持っている二人であれば仕方がないわね。そうでしょ?

(高哉) それで間違いはないけど、二人の性格をもっとあぶりだすために付け加えなければならないことがある。異性との関係で説明するのが分かりやすいと思う。

 梯二郎は女性の好みがうるさいというよりは我が意を得て始めて女性とその気になる。だから、百子や中川京子とその気になりながら突如としてその気にならなくなる。凄い美貌の持ち主である妻の都寿子と夫婦関係が途絶えて久しいのはその気にならないからだと思う。梯二郎は単なる女たらしではない。梯二郎の女性関係は自分の性格に忠実にしたがったものであると理解する必要があるんじゃないかな。

 百子の場合はバー「ボヌール」のバーテン・柏田と男と女の関係になった背景に彼女の本質がある。普通の人には信じられない行動を採ったのは、次の図式のなせる業なのだと思う。

 美香を捜すために入ったジャズ喫茶でチンピラ学生とのひと悶着を処理したものの「チンピラ達が自分の店を襲うのではないか」という不安に駆られたまま夜道を独りで歩いた ⇒ 自分の人生を振り返り、この不安への対処策を考えた ⇒ 「頼れるのは梯二郎しかいない。気まずい想いを捨てて彼に相談しよう!」となった。しかし、彼の所在が掴めなかったので、相談のしようがなかった

 ⇒ 不安が嵩じてきたし、ストレスも溜まった ⇒ 有能感を損なうことなく誰かにすがりたい。誰かをぐいっと惹きつけて今を最高に生きる気分に浸ってストレスを発散させようと思うに至った ⇒ 自分に忠実なバーテン・柏田と情交を結ぶことになった。

 百子がバーテン・柏田と情交を結ぶことになったのは臨機応変に確立されるピンポイントのアイデンティティのなせる業であると解釈できるんじゃないかな。したがって、百子のこうした行動で「節操のない人間である」と判断するのは間違いだと思う。

二人とも性格に振り回されていたことが根底にあった

(節子) 日本的集団主義の影響を受けているためかその場凌ぎの人が多い中にあってメリハリのある思考・行動をする二人は日本の社会にあって珍しい存在。似たところがあるのは表層だけで中身は全く違うので、お互いに本当のところは理解しあっていなかったとなり、二人とも気が変わりやすくさっと引いてしまうので、誤解を解きようがなかったとなってしまった。

 二人は聡明なのに何が原因してこうなってしまったのかしら? 彼我の性格を認識しあうことが一番だけど、そういう本格的手段を講じる前に気をつけるべきことを知りたいの。

(高哉) ゼロベースで考える習慣がないので、自分の過去の経験則に照らして判断してしまう。こういうことが原因しているのだと思う。この経験主義の限界を痛感して欲しい。この思いを込めてこうしたマンネリ的な判断が訪れたチャンスを摘み取ることにも結びつく面白い話をしよう。

 滑らかに書ける万年筆に凄くこだわる僕は万年筆専門店であった文具・事務用品店を徒歩圏内で発見。「私は事務用品を比較的沢山使う人間。私が気に入る万年筆を探してくれれば、これからはここで事務用品を買うことにする」と伝えたところ、「これがいいですよ。使いこむと必ず満足いく書き味が得られますよ」という言葉を添えて一本の万年筆を勧めてくれた。

 この万年筆を信用して買ったけど、値段の割にはそれほどではない。したがって、事務用品購入店をこの店に切り替えることなく今日に至っている。この店主は過去の経験に照らして僕の言葉を文字通りに受け取らなかった。だから、こういう結果になったのだと思う。

(節子) 固定観念で相手を判断してはいけないことがよく分かった。でも、梯二郎はともかくもピンポイントのアイデンティティを臨機応変に確立する習慣の持ち主である百子はゼロベースで考えることが多いんじゃないかしら?

(高哉) 泰然自若としている時はそうかもしれない。しかし、ゼロベースで考えることを困難にする、いいかえれば、泰然自若としてはいられない時の方が多いと思う。というのは、百子の人生に次の図式が待ち構えている可能性が大きいからだよ。

 活躍の場が広がる ⇒ 経験則が通用しないことが発生する ⇒ 予測制御本能が使えない場面に遭遇する ⇒ 先が読めないのでパニックあるいはそれに近い心理状態になる ⇒ 強迫観念に駆られてしまう ⇒ ゼロベースで考えることは不可能になる ⇒ 性格についつい振り回されてしまう ⇒ 視野狭窄症、ひいては拘禁服着用症に罹ってしまう。

 ここに、視野狭窄症、ひいては拘禁服着用症に罹らずにすむことを可能にする性格診断の必要性があることを強調したい。


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