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個性的才能を引き出す性格診断の勧め

第2部 悲劇の人生の裏に臨機応変力のなさがある ─ 人生・仕事の問題解決者を登用しなかったことが悔やまれる ─

『孤独の賭け』から学ぶ

性格無知が天才型事業家を挫折に追いこんでしまった
 ― 梯二郎の全てが百子との関係に現れている ―

2007.12.16

物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします


大胆に賭けたことはとことん大事にした

大きな欲望のために小さな欲望を捨てる

(節子) 百子とのことが始まって以降の梯二郎のことでちょっと理解に苦しむことがあるの。海上カジノをメインテーマにする大歓楽境の第一期工事発注の代わりに出資か融資かを引き受けてくれることをほぼ決めてくれていた建設土木会社の社長とのやり取りのことよ。

 百子と二人でレストランを出ようしたら若い男性の秘書連れのこの社長とばったり会った。この秘書は女中だった百子の尻を追い回した。ところが、逆に誘惑したことにされて解雇されてしまった。このことをずーっと恨んでいた百子はこことばかりにこの秘書に罵声を浴びせてしまった。

 この様子を見ていたこの社長は「レジャーブーム出色の人物ともあろう男が女中風情を連れ回して歩いているのかね」と侮辱した。すると、梯二郎は「彼女は女中ではなく満場の男を魅了するデザイナーです。私の業界の中で最も有能なタレントです。紳士諸氏がおねんね芸姐を連れ歩いているのとどちらが上ですかね」と言ってはならない表現で切り返しした。

 これでは取引はおじゃんよね。 自分の才能を頼りに夢を乗せた大胆な賭けをした人物がどうしてこんな軽率なことをするのかしら? 理解に苦しむわ。気に入っている百子に良いところを見せようというのであれば、事業家として失格ね。

(高哉) 気に入っている百子に良いところを見せるためではなかったと思う。というのは、彼は百子と二人だけになると百子を罵倒したからね。百子に良いところを見せようというのであれば、百子を罵倒するのではなく慰めるんじゃないかな。

(節子) それじゃ、「自分と似た境遇の百子が卑しめられた ⇒ 自分も卑しめられたような気がした ⇒ 不快感を吐き出すことにした」ということかしら? だとすると、梯二郎は自分の性格に振り回されて大事な取引をふいにしてしまったのね。だとすれば、やはり事業家として失格じゃないかしら?

(高哉) 損をしても大切なものを守る ⇒ 粘り強い挑戦力を維持する ⇒ 戦略発想をして思い通りに事を運ぶ才能を維持する ⇒ 新しい金融支援先を捜すことができる──、という図式を実現させたい。このように本能的に思ったんじゃないかな。

(節子) そうだとすると、梯二郎は清々しいやり手ね。よくよく考えると、本物の合理主義者かもしれない。というのは、百子を抱きたくなって訪ねたが、店の改造プランを練ることに熱中していたので、何もしないで帰ってしまったことがあったものね。

(高哉) 百子がコレクションの準備に没頭している時もそうだったよね。こんな時に自分の欲望充足を優先させたら百子が大きく育つのを邪魔してしまう。こう考えたのではないかと思う。現在の快感よりも未来の快感の方が遥かに大きければ、未来の快感の方を大事にする。こういう判断が働いたのかもしれない。だとすると、梯二郎は単なる好色漢ではないということになる。

戦略発想をして思い通りに事を運ぼうとする行動が不円滑になりがちである

(節子) バー「アロハ」を150万円の損をしてまで700万円で買い取り。200万円をかけて改装して名前を「ボヌール」にした。百子にマダムをやって貰うために現在の貨幣価値に直すと約10倍の大金を払ったのよ。これも大きな欲望のために小さな欲望を捨てる梯二郎流なんだろうけど、この計算の背景にどんな事業的な目論見があったのかしら?

(高哉) 梯二郎がニューフロンティアを開拓し続ける ⇒ 百子がこのニューフロンティアで斬新な魅力を創り続ける ⇒ 拡大し続ける自転車操業型事業を維持できる ⇒ 年老いる前に娯楽産業王になる──、という図式を実現させるための試金石だったんじゃないかな。

 梯二郎は百子の才能をずばり見抜いた慧眼の持ち主。しかし、性格の理解度はある程度であって深くなかった。

(節子) そうね。梯二郎は百子の性格がよく理解できていなかったわね。梯二郎はアメリカ行きのことを他の主だった人には説明し、空港で見送りを受けた。ところが、百子は結果として無視。こういうへまが大恩人である梯二郎を裏切ることに結びつく次の図式に百子を走らせてしまったのよね。

 取得済みの不動産が大きく値上がりしそうになったので、氷室に担保として預けてある不動産を取り戻したくなった + 株が値上がりしそうだったので、株を売却したくなかった ⇒ 不動産の値上がり分を氷室と折半して100万円を入手することになった ⇒ 百子が雇われ経営者をしているバー「ボヌール」の所有権を梯二郎から氷室に移すための仲介役を巧妙に演じた。

 梯二郎は「鼻毛を抜かれたり、飼い犬に手を噛まれことが一番嫌だ」と言いながらそんな取引に応じたのはどうしてなのかしら? これも大きな欲望のために小さな欲望を捨てる梯二郎流儀なのかしら?

(高哉) 希に見るタレントである百子を絶対に手放したくない。この想いが大きな欲望のために小さな欲望を捨てるという判断を無理やりさせた。その結果、梯二郎は「ボヌール」の所有権の移転に同意する代わりに百子がこのバーの雇われ経営者の座をを降りることを約束させることに成功。しかし、梯二郎が性格に振り回され放しだったことは否めない。というのは、梯二郎にフィードバック回路があれば、

 「百子は人を堂々と騙す人間ではない。にもかかわらず、自分を裏切るようなことをしたのには何か理由があるはずだ」と考え、「あのことが百子が一番大切にしていることを台無しにしてしまったのだ」という結論を、独自にせよ他人の力を借りるにせよ導き出すことが可能だったかもしれないからだ。

イノベーションのロジックが注入されていたことを忘れてはならない

(節子) その説明、納得できる。今貴方が指摘したフィードバック回路が働かない状態が続いた。その結果が二人の間をぎくしゃくしたものにし、百子の離反を決定づけてしまったのよね。ところで、梯二郎が後で証明された百子の才能を早々と見抜くことができたのはどうしてなのかしら?

(高哉) 梯二郎が「なんとしてでもやり遂げよう!」という強烈な想いをしながら実践を積み重ねたことが洞察力強化に結びいたんだろうね。

(節子) 複雑さを増す世の中にあって洞察力は成功の切り札。この切り札は挑戦を重ねることによって手に入れることができるなんていい話ね。この辺りのことを理路整然と説明してくれないかしら?

(高哉) 僕自身の経験から言うと、挑戦を重ねることが洞察力強化に結びつくのは、次の図式のなせる業であると思う。

洞察力が自然に身につく方法
 性格に合った仕事をする ⇒ 「なんとしてでもやり遂げよう!」という強烈な想いを持つことができる ⇒ 記憶創出機能を司る海馬が刺激される ⇒ 実践を重なれば重なるほど脳のシソーラス機能が拡充する ⇒ 洞察力の強化が進む。(洞察力についての補足説明 ⇒ 『洞察力はやり方次第で短期間に身につくものです』)

(節子) 洞察力強化の原動力である「なんとしてでもやり遂げよう!」という強烈な想いは梯二郎の場合どのようにして生まれたのかしら? 生い立ちに秘密があることは分かっているけど、貴方の本質をずばり突いた説明を聞きたいの。

(高哉) 駄菓子屋の店員に「臭い」と言われて摘み出された原体験が強烈な反発心を生み、この反発心が継続的な挑戦行動を更に生み出した。でも、これだけでは常に前向きな姿勢を説明できない。

 梯二郎は少年時代にパンツの尻部分に大きな目玉のようなパチが貼られているのをはいていた。後ろから来る女学生がこれを見てくっくと笑っていた。ところが、梯二郎は恥ずかしいとは思わなかった。ここにも秘密がある。自信満々になるような育てられ方をしたんじゃないかな。

(節子) 「なんとしてでもやり遂げよう!」という強烈な想いの源は強烈な反発心と自信というわけね。生い立ちって大事ね。こういう理想的な生い立ちを経験することなく大人になってしまった人はどうしたらいいのかしら? 諦めるしかないのかしら?

(高哉) 諦める必要は全くない。というのは、梯二郎の例は「生い立ちが性格を醸成し、醸成された性格に沿った仕事に就くことが挑戦精神力を生み、挑戦精神が洞察力強化に結びいた」という教訓になっているからだ。性格に合った仕事に就けば、「どうしてもやりたい」という気持ちが失敗を恐れる気持ちを封じ込めて、洞察力強化の源である挑戦精神を豊かにしてくれるからだ。


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