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2000.3.31

【斬新な着眼】



→ビジョン開発が袋小路からの脱出を可能にする ―SLIMグループによるパソコン小売店チェーン買収並びに若い女性の自信過小症候群の背景分析から考える〈2000/3/31〉

 メキシコ切っての財閥「SLIMグループ」は、18ヵ月にわたって赤字を出し続けている、したがって、株価も大きく下げている、年商60億ドルの米国のパソコン小売店チェーン「CompuUSA Inc.」を買収した。この買収劇の背景にあるSLIMグループの戦略は、行き詰まった企業や個人の新しい活路開拓の貴重なヒントを与えてくれる。

 米国のパソコン小売店チェーンの先行きは、パソコン市場が拡大しているにもかかわらず真っ暗。Dell Computer Corp.やGateway Inc.の直接販売戦略やインターネット関連企業によるパソコン無料提供の影響を受けているからだ。にもかかわらず、SLIMグループがCompuUSA Inc.の全株の買収に乗り出したのはなぜであろうか。

 SLIMグループとCompuUSA Inc.の事業を合体させさえすれば、CompuUSA Inc.の経営を再浮上させることができ、株価を大きく引き上げることができる。言い換えれば、お買い得であり、かつ相乗効果の高い事業展開ができるので、SLIMグループの資産価値をも引き上げることができる。このように判断したからなのだ。

 CompuUSA Inc.はパソコン販売業界内でも抜群のブランド力・販売網・仕入れ力を持っている。一方、SLIMグループは電話サービス提供企業、インターネット関連のサービス提供企業、並びに保険証券・音楽CD・薬などのインターネット小売業を営んでいる。したがって、SLIMグループの販売ルートにパソコンを、パソコンの販売ルートにSLIMグループの商品やサービスを流すことができるのだ。

 このように考えると、CompuUSA Inc.は自らが中小のインターネット関連サービス提供企業を買収し、インターネット関連サービスの得意先にパソコンを、パソコンの得意先にインターネット関連サービスを販売する。こうした事業を軌道に乗せた段階で、インターネット小売業としての取扱商品の種類を増やす。こういう積極的な事業展開も選択肢にあったはずだ。

 「やって来るぞ」と言われ続けてきた大変容の時代がわが国にとうとう本当に到来した。したがって、支えてきたものが音を立てて崩れていくのを実感している。あるいはまだそうならなくても自分の主張が通りにくい場面に遭遇している企業や個人が少なくない。

 このような企業や個人は、上記したCompuUSA Inc.再浮上のシナリオをどのように受け止めるべきであろうか。企業や個人が行き詰まってしまったならば、自分の特徴を生き生きと生かせる「斬新な着眼」に溢れるビジョンを開発しなければならない。このように受け止めるべきであろう。

 ビジョン開発は行詰りの打破を可能にしてくれるだけではなく、不確実性の高い時代に一番必要な信念を与えてくれることに注目して頂きたい。ビジョン開発を本格的に行えば、「わが社はこのように進めば間違いなし」「自分はこのような人生を送れば間違いなし」という信念を持つことができるようになるからだ。


 信念を持つことの必要性をあえて申し上げる背景には、心を痛める最近の世相がある。

 インテリジェンスに溢れ、しかもプリティ。このような若い女性は自信を持っているはず。ところが、必ずしもそうではないらしい。なぜなら、男性に執拗に言い寄られると、「こんな男性は再び自分の前に現れることはないのではないか」と思い、簡単に身体を許してしまう。そして、やがて振られてしまう。そして、ますます自信を失ってしまう。こういうことを繰り返す例が後を立たないからだ。

 誰とも本音で話し合いをしたことがない。だから、このような自信過小症候群が生まれてしまった。このように論評されることが多いが、そうなのであろうか。もしそうだとしたら、どうしたらよいのであろうか。

 近隣社会が崩壊して久しい。そして、家族も崩壊に近い状態にある。こういう場合、心の友がいれば救われる。ところが、友達の数は多いが、人間関係は希薄な人ばかりであるので、これも駄目。女性に限らず気の毒な人間関係に囲まれている若者が多い。

 こういう場合、自分の生き方がしっかりと定まっていれば、心が安定して、ふらふらしなくてすむ。ところが、若者は孤独を強いられながら、学校教育を含めて様々な面で個性を抑圧されてきている。となれば、自分の生き方を確立しようがない。なぜなら、自己主張し続けることにより、自分を客観視できるようになり、自分の生き方が自ずと定まってくるようになるからだ。

 したがって、上記の論評は正しいわけだ。それではどうしたらよいのか。

 気の毒な人間関係のほとんどは若者の自助努力ではどうにもならない。となると、自分の特徴を活かし、強化し続けることができるようなビジョンを開発し、「自分の生き方はこうなのだ」と自信を持って生きるべきであろう。すると、自信が本音で話すことを可能にし、本音で話すことが心を通じ合うことのできる友づくりに結びつく。こういう副産物も生まれるであろう。

 このように言うと、「自信に満ちていても行動が伴わなければ、他人の信用を得ることができない。となれば、友づくりが困難になる」という意見が出されるかもしれない。これに対しては、「大脳生理をご認識頂きたい」という言葉を返したい。

 本格的なビジョン開発が明確な意識を、明確な意識が頭脳の作動を、頭脳の作動が具体的行動を可能にするのだ。 

●予告

 ビデオ録画してあった、ドキュメント日本「儲かる仕事を探せ〜総合商社、課長たちの奮闘記〜」(去る2月下旬にNHKテレビで放映)を見ました。この総合商社は住友商事でした。選ばれた課長たちの仕事振りは、この種の仕事の経験がまったくないにしては実に素晴らしいものでした。

 しかしながら、一方において、「このままでは住友商事がかっての輝きを取り戻すのはむずかしいのではなかろうか」という感想を抱きました。創造的な事業計画を策定するに必要な作業手順を踏んでいなかったことが結果にもろに現われているように思われたからです。

 そこで、他の企業にも参考になるように、「住友商事の儲かる仕事探しのどこに問題があるのか、どうすべきなのか」についての私の考え方を、読み応えのある長めの文章に纏めてみようと思うに至りました。次号(4月14日予定)の「斬新な着眼」をどうぞご期待ください。


→バックナンバー:斬新な着眼

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