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【脱集団主義の時代】


渡辺高哉著『脱集団主義の時代』 (1997.1.7刊) より転載

→個別企業再生の秘策

4. マルチメディア・ビジネス−ベンチャー企業活躍の場

先進国経済が脱工業化してサービス産業を振興する場合の問題点はサービス産業の生産性が低いことですが、マルチメディア・ビジネスの中でだったら、この問題点が解決できるだけではなく、輸出商品に育てられることがよく分かりました。電脳空間を使って世界中の顧客に直接販売できるわけですから。

 でも、雇用吸収力の拡大となると不安があります。この種のビジネスで大きな雇用吸収力をつくり出すためには、家内工業的な企業をできるだけ数多く輩出させなければなりませんが、これはアプリケーション・ソフトウェア、コンテンツのいずれにおいてもなかなか難しいのではないかという気がしているのです。 アプリケーション・ソフトウェア業界ではマイクロソフトが圧倒的な地位を占めているし、残りも先発の大手企業がしっかりしています。

 一方、コンテンツはディズニーがメディア企業を買収したなどで大企業が一段と力をつけてきています。こういうことが目立っている中にあって、家内工業の活躍の余地が果たしてあるのでしょうか。

おっしゃるところの家内工業の活躍の余地があるか否かは二つのことを検討することにより判断できます。ひとつは現在のソフト業界の実態に対してユーザーが満足しているか否か、もうひとつは仮にユーザーが満足していないとした場合、ユーザーの満足いくソフトを家内工業的な企業が提供する可能性があるか否かです。

 まず、最初の問題ですが、アプリケーション・ソフトウェアをパソコンで使用して行う作業を例にとりますと、多くのユーザーは現在の大企業支配体制にコスト的にも品質的にも決して満足していません。仕方なく使っていると言っても言い過ぎではありません。したがって、家内工業的な企業の付け入る隙はあります。

 現在の大企業支配体制に付け入る隙があっても、ユーザーの満足いくソフトを家内工業的な企業が提供する可能性がなければどうしようもありませんが、この問題もクリアーできる条件が整いつつあるのです。

 有能なインテリア・コーディネーターは素晴らしい住宅内部を既存の商品だけで実現したり、あるいは特別につくったワンポイント商品を追加したりして実現していますが、同じようなことがマルチメディア・ビジネスにおけるアプリケーション・ソフトウェアやコンテンツで実現できるはずなのです。

 なぜなら、必要なアプリケーション・ソフトウェアとコンテンツを選択し、必要に応じて組み合わせて使うこと、世界中の顧客に直接販売すること、この二つをインターネットは可能にしてくれるからです。つまり、家内工業的な企業がアプリケーションやコンテンツの供給業者として名乗りをあげることは可能なのです。


「アプリケーション・ソフトウェアをパソコンで使用して行う作業において選択の道を封じられ、きわめて割高なものを買わされているユーザーが多いのが現状です」との趣旨の発言がありましたが、これはどういう意味なのでしょうか。インテルとマイクロソフトは他を寄せつけない圧倒的な地位を占めているので、ちょっとびっくりしているのです。

 この実態について完全に納得することなく、「家内工業的な企業がアプリケーションやコンテンツの供給業者として名乗りをあげることは可能なのです」という主張に「そうですか」と頷くわけにはいきません。

インテルとマイクロソフトはお互いの次の開発を前提にそれぞれの開発を行い、マイクロチップと基本ソフトの標準品メーカーの地位を確立し続けて今日まで至っています。しかも、マイクロソフトの場合はその効果をアプリケーション・ソフトウェアにまで及ぼしているのです。

 だからといって、アプリケーション・ソフトウェアをマイクロソフトが独占しているわけではありません。マイクロソフトのアプリケーション・ソフトウェア分野進出以前から存在している他メーカーのユーザーはデータの互換性からバージョンアップがあっても同一メーカーのソフトを使い続ける場合が少なくないからです。

 アプリケーション・ソフトウェアが選択できる余地が多ければ、マイクロソフトとバージョンアップを繰り返してきた老舗のメーカーのみから成り立つような状態を阻止できたのですが、それはかなわぬ技でした。データの互換性や慣れの問題があるだけではなく、既存メーカーのアプリケーション・ソフトウェア組み込み済みのパソコンが少なくないからです。

 「アプリケーション・ソフトウェアをパソコンで使用して行う作業において選択の道を封じられていた」といったようなことを申し上げた背景には以上のようなことがあるのです。それから、きわめて割高なものを買わされているユーザーを多くしている原因はアプリケーション・ソフトウェアの各メーカーは市場を守り抜くための努力にあるのです。

 各メーカーはライバルがつけ入る隙をなくすために、機能を多くし汎用性を高めています。ところが、すべての機能を使うユーザーはほとんどいません。ということはユーザーはソフトにもパソコンにも余計なお金を支払っていることを意味します。

 その上、バージョンアップの繰り返し。たまったものではありません。データの互換性の必要性から、積み上げ的にプログラムを開発してきていますので、プログラムはきわめて冗長性の高いものとなり、その分、パソコンの容量も大きくせざるを得なくなっているのです。


インターネット時代を迎え、アプリケーション・ソフトウェアとコンテンツのメーカーとして多くの家内工業の活躍の余地が大きく広がってきたという理屈はよく分かりました。しかし、果たしてそんな需要があるのかどうかに不安がありますので、コンテンツのイメージだけでもいいですから、ちょっと教えて頂けないでしょうか。

面接によるサービス事業を拡大するに当たっての問題点を体系的に整理し、インターネットの活用がこの問題点の解決に役立つかどうかを考えて見ればよろしいのではないでしょうか。まず、サービスを受ける側の問題ですが、匿名性が実現しにくいために、二つの不都合が発生します。

 サービスの質が良くなかった場合にサービス提供者の切り替えがしにくいので、せっかく開発されたサービスが購入されるに至らない。これがひとつです。永住型のマンションの住人が隣の歯医者を避けがちなのはこういったことが原因していることをお考えて頂ければよろしいのではないでしょうか。

 匿名性が実現しにくいためにサービスの受け手が感じる不都合はこういう人間関係からくる問題だけではありません。サービス提供者に弱みを握られると困るとか、恥ずかしいとかいったこともあります。こういう場合はサービス需要は潜在したままとなりがちです。心の奥底に渦巻くどろどろとした未確定ニーズは増える一方ですので、勿体ない話です。

 面接によるサービスが問題となるのは受け手側だけではなく、供給側にもあります。サービスの生産と消費が同時に発生せざるを得ないので、サービス提供事業の稼働率が平準化しなくなり、経営の安定化が図りにくくなる。逆に経営が安定化すると、「三時間待たされて三分間診療する」といったような医療機関のような問題が発生します。


 なるほど、「問題解決が商品開発なのだ」とおっしゃりたいのですね。マルチメディアビジネスとしてのコンテンツ開発の余地が沢山あることがよく分かりました。医療、人間関係における自己満足支援、企業再生、新規事業・新商品開発等々で二段階のサービスを提供することが考えられます。

 無料で最新情報を提供し、「おや、なかなかクリエイティブだな」と思わせ、有料の匿名相談を誘導する。これが第一段階。無料の情報提供は印刷物を大量に作成し、それを送る必要がないので、経費の負担が少なくてすみます。また、有料の匿名相談はバッチ処理し、回答内容はある程度パターン化できますので、生産の合理化が実現できます。

 しかし、この有料匿名相談ではサービス提供者が相談者から入手する情報には限りがありますので、掘り下げたサービスの提供はできません。そこで、サービス提供者を信用できると判断した顧客に対して、随時サービスを受けつけてバッチ処理で回答する会員制のサービスを提供する。これが第二段階のサービスです。

 会員に対するサービスの結果は医者のカルテのように顧客別に保管されることになりますので、会員としての期間が長ければ長いほど、サービスの質が高まり、顧客に喜ばれる形での、ライバルに対する差別化が可能となるはずです。但し、顧客の機密保持契約が必要となるのは言うまでもありません。

 こういうサービスを提供し、臨床データがある程度蓄積できたら、かなり精緻なコンサルティング・プログラムができるはずです。但し、この場合、蓄積したデータを単に分類するだけではなく、分析的推理と合成的推理をも行うこと、顧客の機密漏洩につながらないような工夫が必要であることは言うまでもありません。こんな考えでいかがでしょうか

インターネットの普及によりチャンスが広がっているし、企業立地の自由度拡大は個人の能力開発の必要性が高まりますので、「将来こういう職業に就きたいが間違っていないだろうか。間違っていないとすれば、どういう努力をすればよいのか」といったような個人の挑戦を支援するサービスの需要がこれからは拡大するのではないでしょうか。

 この挑戦支援サービスの良さは二つあると思うのです。新しい職業などの挑戦目標は「なぜなのか」という上位概念を、次いでこの上位概念を達成する手段を詰める「概念拡大と論理化」が必要ですが、専門家の知見を使ってこれが実現できること、これがまずあります。 それから挑戦を成功させるためには、挑戦目標の概要を明らかにし、訓練を行わなければなりませんが、これもクリアーできること、これがもうひとつの良さです。行動目標の概要を知り、覚悟と安心からなる「予測制御効果」や事前の訓練なくして挑戦は緒につくどころか成功はおぼつかないのです。

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