[TRI] Total Renovation Institute 新創業研究所(古河イノベーションセンター)
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【脱集団主義の時代】


渡辺高哉著『脱集団主義の時代』 (1997.1.7刊) より転載

→個別企業再生の秘策

16. 外部専門家を巧く使う秘訣

全員参加型の新創業プロジェクトですが、外部の専門家の登用が必要な気がします。先ほどおっしゃった「未来社会の洞察力、夢の事業発想に結びつくインスピレーション力、インスピレーションの論理チェック力」の三つが社内にあるとしても、社内の人間だけでこの種のプロジェクトを推進しますと、二つの限界が生まれるのではないかと思うからです。

 人間はどんなに優れていても、自分の価値体系内のことは明確に語ることができないところがあります。企業内の色々なことを分析しなければならないのに、こういうことがあっては所期の成果を出すことは望めません。これが考えられる限界のひとつです。

 仮に、自分の価値体系内のことを明確に語ることができる人物が社内に少なからず存在しているとしても、社内の人間同士が本音で語り、本音の処方箋をつくることはなかなかできるものではありません。お互いにすねに傷を持っているし、プロジェクトが完了してからもずーっとつきあわなくてはならないからです。これがもうひとつの限界です。

 社外の専門家ですと、この二つの限界はありませんので、本音の情報が収集しやすいし、客観的な処方箋をつくることができるはずです。しかし、こんな大事なプロジェクトで不適切な人材を登用してしまったら大変なことになります。「外部の専門家を使いたいが不安」という問題を解決する何か巧い方法はないでしょうか。

「このコンサルタントや人物はこれまで」と途中で打ち切っても、企業が得をするように、3段階アプローチ式のプロジェクトを導入すればよろしいのではないでしょうか。社内の論客を5人から10人程度集め、この小集団と外部専門家と3時間程度の意見交換をさせ、その結果に基づき、この外部専門家に提案書を作成させるのです。これが第一段階です。(意見交換の様子のイメージ ⇒『真空機器振興ビジョン / 参考資料 ⇒ 『閉塞状態から何としてでも脱したい。なのに、方策が見つからない方のためのサービス』)


第一段階と第二段階の作業を踏まえて先ほどの全員参加型のプロジェクトを第三段階の作業として位置づけて推進するのであれば、新創業プロジェクトの設計図の仮説ができあがっているので、「急がば回れ」の効果が期待できそうですね。

 なぜなら、経営陣は「とんでもない結論ができるのではないか」という不安がなくなるし、従業員には予め覚悟するものは覚悟し、要らぬ不安はなくなる「予測制御」効果が期待できるからです。こんな理解でよろしいでしょうか。

もうひとつ重要な効用が期待できます。新創業プロジェクトのような企業の命運にかかわるような仕事に外部の専門家をいきなり登用しますと、それまで面識のなかった企業側の人間が「この人物は信頼に値するだろうか」と思いがちで、そうなると、この人物の発言に真剣に耳を傾けず、「情報効率」が著しく損なわれます。

 コミュニケーションの効率を良くしようと思ったら、コミュニケーションの到達目標に相応しい人間関係をまず形成することが必要なのです。不確実性の高い世界への誘いであったら、相手に先見性や洞察力が優れ、かつ責任感が強い人物であると思われているとかが必要なのです。

 第一段階や第二段階の関門を通過した上で登用する外部専門家であれば、ずば抜けた専門的能力や優れた人間性が企業内にある程度浸透していますので、社内の人間はこの人物の発言に真剣に耳を傾けるはずですから、全員参加型のプロジェクトは円滑に進むことでしょう。

 逆に言えば、第一段階や第二段階の作業でずば抜けた専門能力と人間的魅力が感じられなかったならば、 「この人物はこれまで」と途中で打ち切るべきでしょう。新規事業の開発と同じで駄目だと思ったら潔く撤退し、深手の傷を負わないようにしなければなりません。

 それから創造的企業風土実現の妨げとなっているもうひとつの原因である人事考課制度などの見直しも忘れてはならないのは言うまでもありません。                                     

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