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【ホームページ開設の記念論文】



→日本経済を再生させる方法 

7. 市場原理を徐々に浸透させる

 国民全体の構想力のレベルアップが実現できた。だから、市場原理が追求しやすくなる。という具合には行きません。なぜなら、この議論の最初の方で申し上げましたように、人間そのもの、事柄そのものの純粋な価値よりも、人間関係やそれまでの実績の方がはるかに重視される。

 こういうことが気が遠くなるほど支配的であったのが日本の社会だからです。「だからとても無理」というわけではありません。やり方次第です。

 日本人は信念に基づいてではなく、自然の流れや権威にしたがって行動するところがあります。日本の社会に市場原理を浸透させたいのであれば、日本人のこの性質を大いに利用すべきです。こういう考え方によってまとめたのが下記の図表7です。人を動かすとき、対象となる人物の性格を活用しない手はないのと同じことです。

図表7 市場原理をわが国に浸透させるためのシナリオ

 「税制ほど人の行動に影響を与えるものはない。だから、社会改革を進めたいのであれば、税制の抜本的改革を先行させるべきである」という意見が最近有力筋から出されていますが、「なるほど」と思います。なぜなら、相手の心を所定の方向に向けて動かす。これが交渉成功の大前提。社会改革も交渉と同じことだからです。

 しかしながら、時期尚早です。なぜなら、「このような社会にしたいから、それを誘導するために、このような税制を採用する」…といったような具合にはなっていないからです。このような状態で税制の抜本的改革を行うことは、目指す企業像のデザインができていない段階で、人事考課制度の改革を行うことと似ており、ナンセンスである、といわなければなりません。

 税制の抜本的改革を先行させることのデメリットは他にもあります。仮に日本の目指すべき社会像が確立されていても、旧税制から利益を得ている有力筋の政治的圧力によって税制改革が中途半端になり、かえって将来に禍根を残しかねないからです。

 中途半端だったら何もしない方がまだましであることは、バブル発生の原因分析により明らかにされたのでした。

 これに対して、「国民世論が既得権益者の横車を許さない」という意見が出されそうです。こういう意見を出す気持ちはよく分かりますが、間違いです。なぜなら、この意見はわが国の国民性を考慮に入れていないからです。

 日本人は抽象的なことを理解することはあまり得意ではありません。したがって、「日本の社会はこうならなくてはならない。だから、税制をこうしなくてはならない」といっても、それを理解できるのは一部の人で、大多数の国民はぴんと来ません。となれば、「国民世論が既得権益者の横車を許さない」ということはありえなくなるのです。

 以上の日本人の国民性を考慮に入れて、わが国の社会改革を進めるためには、日本の目指すべき社会像が完成に向ってから、この完成を後押しする形で税制の抜本的改革を行う。こういうやり方が必要です。

 なぜなら、目指すべき社会像が完成に向っているのであれば、その効果も出ているはず。となれば、目指すべき社会像を完成させるための税制改革に対する国民的コンセンサスの形成は容易になるので、既得権益者の横車の封じ込めが可能になるからです。

 既得権益の追求者は政治的影響力を持っていても、醸成された世論には勝てるものではありません。これは歴史的教訓なのです。

 それでは、税制の抜本的改革を行わずして、目指すべき社会像は完成に向うのでしょうか? 間違いなく完成に向うことでしょう。なぜなら、金融ビッグバンとインフォメーション・テクノロジーは市場原理を日本の社会に浸透させるに当たってのフォローの風になること間違いなしだからです。

 但し、このフォローの風を巧みに利用するには、その影響をシナリオ的につかむことが肝要です。変化を待ち受けることができる人が多ければ多いほど、社会改革は着実に進むからです。このような役割を担うためにも作成したのが図表7だったのです。

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