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【斬新な着眼】


2006.11.5

→絶体絶命のピンチにどう対処すべきか?― 馴れ合い主義が無用状況におけるサバイバルのあり方を映画『交渉人』から学ぶ ―

映画を観ていない方は物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

証拠がない状態で真相を明らかにするにはどうしらよいか?

(節子) ネイサンが暗殺されたことによって犯罪の真相は闇に葬られ、ローマンが罪を被ることになってしまったが、ネイサンの奥さんが事の真相を知っているかもしれない。こう思ったローマンの要請を受けたセイビアンはこの奥さんに会いに行った。その結果に基づくセイビアンとローマンのはったり合戦の内容を分かりやすく説明してくれないかしら?なんとなく理解できるんだけど、きちっと理解したいの。

(高哉) 内偵者はネイサンである…ことしか分からなかったみたいだね。しかし、ローマンは別に内定者がいることを信じ込んでいた。そこで、セイビアンは第三者を口説いて内偵者を装わせ、連れてきたローマンの奥さんを騙した。そして、ローマンに対して「貴方の無実が証明されたわよ」と言わせた。その上で、

 セイビアンはローマンに対して「犯人は黒幕しか分からなかった。しかし、まさかこの場で言うわけにいかない。お前は無実であることが証明されたんだからゲームオーバーだ。早く出て来い」と言ったんだ。

 事の真相究明よりも人質解放の方が遥かに大事なセイビアンは職務を遂行するために巧妙にローマンを騙そうとしたんだ。

(節子) 真犯人が分からなかったんだし、その後も真犯人を証明するものが出てこなかったんだからローマンがセイビアンの言う通りにしていたら大変ことになったかもしれないわねぇ。でも、ローマンが「セイビアンははったりを言っている」と一瞬にして見抜けたのはどうしてなのかしら?

(高哉) 一瞬には見抜けなかった。セイビアンの一連の行動から「人質救出のことしか頭にない」と考えて念には念を入れたからだよ。

(節子) そうね。セイビアンが連れてきた内偵者風の男が本当に内偵者であるかどうかを確認するための手続きを採ったものね。パソコンでネイサンがアリゾナ州立大学出身であることを確認した。その上で、セイビアンが連れてきた内偵者風の男から「ネイサンはコロラド州立大学出身である」という言葉を引き出して、次のように判断したのね。

 この男はネイサンとは親しい関係にはない。しかも、内偵者ではない。なぜなら、ネイサン以外に内偵者がいるにしても内偵者はネイサンと親しい関係にあるから…と。

 ところで、ローマンがセイビアンに向かって「ニーバウムが犯人を全員知っている。殺人犯に問われないのであれば、全部話をすると言っている」とはったりをかましたのはどういう意味があるのかしら?

(高哉) 真犯人達が焦る ⇒ 馬脚を顕わす ⇒ 真犯人達を特定できる──、という図式を実現させることが狙いだったんじゃないかな。そして、この狙いはニーバウム暗殺という形で的中することになった。したがって、ローマンはニーバウムの命と引き換えにセイビアンを味方にすることができたんだ。

(節子) 強力な味方を手に入れることができたが、事件の真相を知っている唯一の人間がこの世の中から姿を消してしまった。このことってどう解釈したらよいのかしら?

(高哉) ニーバウムが生存していたとしても、ニーバウムがローマンの無実を証明するとは考えにくい。彼は黒幕から買収されてネイサンから受け取った調査リストを破棄してしまったからね。一方、セイビアンがローマンを信じるに至る術はニーバウムが暗殺されていることを確認できたこと以外には考えられにくい。

 したがって、事件の真相を知っている唯一の人物であるニーバウムを失ってでもセイビアンという強力な味方を手に入れることができた方が遥かに好都合だったんじゃないかな。

(節子) ローマンのとっさの判断は適切だったのね。でも、証拠がないので真犯人を挙げるには自白を引き出す以外に方法はない。自白を引き出すためには真犯人と接触しなければならない。こういう大変な状況の中で事の成就に成功したわけだけど、この成功の仕組みはどうなっているのかしら? なんとなく分かるけど、きちっと説明してくれないかしら?

(高哉) ニーバウムの女性助手が人質から解放された後、取調室で「ローマンは何処に行ったんだ? 本当のことを言わないと犯人隠匿罪に問われる」と脅されて、ローマンに同情していながら「証拠を探すためにはニーバウムの自宅に行ったはずだ」と言ってしまったでしょう。あれが逆に功を奏したんだ。

(節子) 真犯人達は誰よりも早くニーバウムの家に駆けつけて、ローマンを殺そうとするわね。だったら、ローマンとセイビアンはゆっくりと証拠を探せると思いきや警官達がやって来たのを知って、「彼らが真犯人達だ」と思っても不思議はないわね。そこで、ローマンは誘導尋問的な会話を展開して、アレン、ヘルマン、エージェントの三人に事実を告白させて、それを無線機経由で家の外にいる署長達に聞かせた。

(高哉) その通り。そして、セイビアンが本部長補佐のフロス警視正を罠に嵌めて告白を引き出し、これも無線機経由で家の外にいる署長達に聞かせた。

(節子) フロスはどうしてぺらぺらと事実を喋ったのかしら。逆のことを散々やってきたのだからもっと用心深くなってしかるべきじゃないかしら?

(高哉) 真犯人であることを知られてしまっていると間違って判断したフロスは「こうなったらローマンを殺すしかない」と判断。そうしたところ、セイビアンが突然ローマンの腹部を撃った。そして、フロスはローマンが射殺されたと間違って判断した。

 フロスは「セイビアンがどうしてローマンを射殺したのだろうか?」と怪訝に思い、心に隙が出た。そうしたところ、セイビアンが「貴方はニーバウムを、私はローマンを殺した。だから、二人は同罪だ」と言ったために、

 フロスは「そうか。セイビアンはまともな人間ではないな」と思ったはず。いいかえれば、セイビアンの次のよからぬ交渉に応じる下準備ができたはず。かくして、横領した年金基金の分割交渉に易々と乗り、自白同然の発言をしてしまい、万事休すとなってしまったんだ。

(節子) 証拠がなくても真相を明らかにできるのね。窮地に追い込まれても諦めてはならないことがよく分かったわ。

(高哉) 人間は窮地に追い込まれると、藁をも掴みたい気持ちになる。この心理状態が巧妙に利用されたのじゃないかな。(その他の例 ⇒ 『人間はどうしても信じたいことがあると信じてしまう』)


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