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【斬新な着眼】



2006.10.29

→絶体絶命のピンチにどう対処すべきか?― 馴れ合い主義が無用状況におけるサバイバルのあり方を映画『交渉人』から学ぶ ―

映画を観ていない方は物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

セイビアンは通常の職責を超えてローマンを救出したのはなぜなのか?

(節子) セイビアンのプロ魂には感心したわ。交渉人役を解任され、そのまま帰路につくのではなく、危険を顧みずローマンの篭城先にやってきて、「皆はお前を殺そうとしている。ここから出て降伏する以外助かる道はない。諦めて降伏しろ」なんてことを言うんだから。

 このように人命救助しか頭になかったセイビアンが大博打を打ってローマンが無罪であることを証明したのには吃驚したわねぇ。まかり間違えば、自分が犯罪人になるかあるいは殺されかねないのによ。

 警視正のフロスを嵌めるためにローマンの腹部を撃ったでしょう。少しでもずれていたら殺人犯になるところだったわよ。フロスとの取引だって危なかったわよ。フロスが嵌められそうになっていることに気づいたら正当防衛という大義名分の下に撃ち殺していたかもしれないんだから。

 人命救助することしか頭になかった人物が自らの危険を顧みずローマンを救い出すという大胆な行動に出たのはどうしてなんだろう? なんとなく分かるけど、理路整然と説明してくれないかしら?

(高哉) ローマンは罪を一切犯していない。したがって、ローマンを助けることは道理に適っているので、「助けるに値する」といった具合に理性が働いた。ローマンの終始一貫した勇気と正義に満ちた行動を目の当たりにしてきた。したがって、「なんとかして助けなければならない」といった具合に心が動いた。

 とんでもない異常なことをやり遂げるためには理性だけではなく、心を大きく揺さぶられる情念が必要なんだよ。いいかえれば、大事を決断・決行するためには前にも言ったけど「よしこれだ!」「なんとしてでもやり遂げなければならない!」という心境にならなければならない。こういう心境にセイビアンはなったからだよ。

(節子) それって非常に興味深い説明だけど、本件には当てはまらないんじゃないかしら。セイビアンは二つの事実を掴んだのよ。

 人質になっていた内務捜査局長のニーバウムは3発撃たれていた。これは事故死ではなく暗殺であることを明白に物語っている。これがひとつ。射殺されたと思われた警官は無事であった。これがもうひとつ。

 ローマンは無実であることに結びつく、この二つの事実を掴んでいながらセイビアンは無実の証明よりも助命の方を優先させようとしたのはどうしてなのかしら? あのままではローマンは命が助かっても殺人犯に仕立てられることになるのよ。これってどう理解すればいいのかしら?

(高哉) 「ローマンは犯人じゃない。ローマンは助けるに値する」と思っても救出が困難であれば、「ローマンをなんとかして助けなければならない」とはならないよ。無実は証明できなくても命を助けたい。だから、セイビアンは「ここから出て降伏するしか命が助かる方法はない」と言うしかなかった。

 ところが、ローマンが「冷暖房のスティーム管を使って脱出する」と言ったもんだから、セイビアンは「だったらいける」と思って、「ローマンをなんとかして助けなければならない」と思うに至ったんだと思う。

 ローマンが考え出したことはきっと奇策中の奇策だったんだよ。だって、ビルに突入してもローマンが発見されなかったことに対して、FBIの司令官は「エレベーター・シャフト、換気口、地下室を調べろ」としか言わなかったでしょ。冷暖房のスティーム管を使って脱出するなんて思いもしなかったんだと思うよ。

(節子) 今の説明は重大な教訓を残してくれたわ。大物に重大事の決断・決行を迫りたいのであれば、「行動は道理に適っている」「行動は可能である」「行動に向かって心を大きく動かす」の三つが揃っていなければならないのね。

(高哉) その通りだよ。それなりの人物を動かすためには緻密な思考が必要なんだ。ところが、そうではないことがほとんど。短い人生を有意義に過ごしたいのであれば、本格的な交渉を必要とする場面に遭遇したら適切な交渉人を登用する習慣を持つことが必要かもしれない。

(節子) 高哉さんがいつも言っている「思考の三原則」(全体を見る/長い目で見る/根本的に考える)を適用し、かつ粘り強くないと複雑な交渉事で成功を収めることができない…というがよく分かったわ。だって、次の図式がこのことを見事に物語っているもの。

 (ニーバウムは暗殺であることが分かった + 人質の警官は生かされていた + 証拠が見つからなかった ⇒ 本部長補佐であるフロス警視正の悪巧みが功を奏しそうになった ⇒ セイビアンのフロスに対する強い憎悪の念が生まれた + ローマンの一貫した勇敢かつ正義に満ちた態度には感動的であった ⇒ セイビアンは一世一代の大はったり劇を演じた ⇒ フロスの真実告白を引き出した。

 「フロスは断じて許すことができない」「ローマンはなんとしてでも助けなければならない」 ── この二つの強い思いが重なったことがセイビアンの果敢極まりない行動に結びついたことがよく分かったのよ。

(高哉) その通りだけど、ローマンの協力があったからこそ大成功を収めたセイビアンの一世一代の大はったり劇が生まれたことも忘れてはならない。

 セイビアンがニーバウムに接した時、ローマンは「君に指揮権を与えながら強行突入したのは変だと思わないか?」と言ったでしょう。あの言葉で真犯人は強行突入した警官側にいる…とセイビアンは思うようなった。こういうことがなければ、あんな極度の緊張場面で

 ニーバウムが3発撃たれていることに気づいた ⇒ ニーバウムは暗殺されたと判断した ⇒ ローマンは救い出すに値する──、という沈着冷静な判断を瞬時に行う図式にはならなかったと思うんだ。

 同じ現象の解釈の仕方が見方次第で変わりやすいことを考えると、ローマンがセイビアンに盲点を気づかせた巧みさは見逃せない。

(節子) 高哉さんがいつも言っている「サービスの提供者と享受者の協力度合いがサービスの質を決めることが多い」のひとつの例として解釈する必要があるのね。セイビアンがローマンからかかってくる電話を二度にわたってすげなくガチャッと切ったでしょう。あれもサービスの質を良くするための工夫かしら?

(高哉) まったくその通りだよ。サービス提供者がサービス享受者を時には冷たくあしらうことは、次の図式に結びつくことがしばしばあるからね。

 サービス享受者は「サービス提供者は降りることだってあり得る」「我侭放題は許されない」と思う ⇒ サービス享受者はサービス提供者に協力的になる。

(節子) 交渉を成功させるためには総合力が必要なのね。緻密な思考と粘り強さがあれば難問解決は可能であることがよく分かったわよ。

(高哉) 相手の盲点を見抜き、見抜いた盲点をタイムリーに相手に認識させることができれば、交渉事は難問であっても解決が可能になる。但し、現在は存在しない将来の生活・仕事の必要性を痛感させる。そうすることによって盲点を創り出すという離れ業が必要になる場合もあるんだ。

 但し、相手が疑心暗鬼の状態であると、情報活動がいくら適切であっても交渉はうまくいかない。疑心暗鬼が入り込む隙を与えないためには、「ローマンのように勇敢かつ正義に満ちた態度を一貫して採り続ける ⇒ セイビアンがそうであったように相手の感情が大きく揺すぶられる」という図式の実現が必要になることを忘れてはならない。

(節子) 揺るぎのない信念を持つことが交渉成功の要諦であるというわけね。だから、「よしこれだ!」「何としでもやり遂げよう!」となるような心理・頭脳状態を創り出すことを可能にする「ワタナベ式問題解決へのアプローチ」があるのね。

(高哉) その通りだよ。この手法を紹介すると、「共同作業かぁ。面倒くさいなぁ」という人がいるけど、難問を解決するためにはあなたと私共が共同作業を行うことをお勧めしますで説明してあるように共同作業に勝る方法はないんだ。


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