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【斬新な着眼】


2006.10.22

→絶体絶命のピンチにどう対処すべきか?― 馴れ合い主義が無用状況におけるサバイバルのあり方を映画『交渉人』から学ぶ ―

映画を観ていない方は物語のあらすじを予め理解しておくことをお勧めします

ローマンは人質をとっての篭城でどんな効果を引き出そうとしたのか?

(節子) ローマンは湧き上がってきた激情を利用して、一か八か…のとんでもない行動を採ったというわけね。それゃそうね、火事場の馬鹿力のようなエネルギーは淡々とした気持ちからは決して生まれないものね。よく分かったわ。それはそれとして、人質をとっての篭城はどんなプラスの効果を生むのかしら? 理路整然と説明してくれないかしら?

(高哉) ネーサンが「年金基金横領犯は我々の仲間の中にいる。内務捜査局長のニーバウムも一枚からんでいる」と言っていた。そして、 このニーバウムのオフィスに乗り込んだ時、「ニーバウムはやはり黒だ」との印象を強く持ったローマンは次の図式を頭の中に一瞬のうちに描いたんだと思うんだ。

 人質をとっての篭城を長引かせる ⇒ 人質から何かを聞き出すのでは…と真犯人が焦りを感じる ⇒ 強行突入等によりローマンを殺害しようとする ⇒ ローマンを焦って殺害しようとする行為の不自然さがクローズアップする。

(節子) 警察全体がローマンを確信犯だと思っているんだったらローマンを焦って殺害しようとする行為の不自然さがクローズアップするなんてことは難しいんじゃないかしら? 高哉さん、いつも言っているでしょう。「こうじゃないかなぁ」「この点を是非確かめたい」という問題意識がなければ「分かった」となるような情報は飛び込んでこないって。

 ローマンを確信犯であると思い込んでいる ⇒ 思い込みに反する情報は素通りしてしまう ⇒ ローマンを焦って殺害しようとする行為の不自然さはクローズアップしない──、という図式が成立してしまうと思うの。

(高哉) ローマンが普通の人間だったら節子の言う通りになるしかない。でも、ローマンは人の心理操作に長けた有能な交渉人であることを忘れてはならない。時間さえあれば、同僚達に「ローマンは犯人ではないかもしれない」「真犯人は別の人間かもしれない」と思わせることはそんなに難しいことではない。

 盲点を見抜き、この盲点を巧みにつけば信念や決心は簡単にぐらつく。だから、「政治とは言葉の技術である」という有名な言葉が生まれたんだよ。

 人の心はころりと変わりしやすいことを示す有名な諺が中国にあるのを知っているでしょう?

 ある老婆がいました。この老婆はある人物から「貴女の息子が人を殺しました」と伝えられました。この老婆は「そんな馬鹿なことはあり得ない」と断固と言い返し、普段通りの生活をしていました。

 ところが、暫くしてから別の人物から「貴女の息子が人を殺しました」と伝えられると、首をかしげて「そんなはずはない。おかしいな」と呟きました。でも、その場に留まっていました。しかし、三度目は愛する息子を信じなくなってしまいました。

 暫くしてからやって来た第三の人物から「貴女の息子が人を殺しました」と伝えられると、この老婆はとうとう逃げ出してしまったのです。

 ごく普通の人間にとって不動心なんてことは夢のまた夢なんだ。だから、座右の銘に「不動心」と書き記す人が少なくないんだ。

(節子) 「政治とは言葉の技術である」という有名な格言、納得するなぁ。だって高哉さんが交渉すると高哉さんの思いのままになることがこれまで沢山あったんだから。でも、篭城が長引けば長引くほど命が危険に晒されるんじゃないかしら?

(高哉) ローマンを別の建物の屋上から狙撃しようとしていた同僚が「俺にはローマンを撃てない」と役目を降りてしまったシーンを思い出して欲しいんだ。

(節子) ローマンの演説が確かに利いたわね。同僚達とお酒を飲んだり、野球をしたり、仲間の警官の子供が人質になったのをローマンが無事救出した思い出話。

 相棒のネイサンが殺された上に、無実の罪を着せられて刑務所に入れられ、奥さんと生き別れになるぐらいなら死んだ方がましだ…という嘆きが無線機から流れてくるのを聞いて、みんなはしんみりした表情をしていたものね。盲点を突く情報で強い思い込みを正すことができることはよく分かったわ。

 でも、この心理操作は無制限にはできないでしょ? 「ローマンは名うての交渉人。長引けば長引くほど我々が不利になる。強行突入して一刻も早く決着をつけなければならない」といった趣旨の意見が浮上してきたのが何よりの証拠よ。

(高哉) ローマンは自分独りで長引かせるのは得策ではないと最初から判断していた。だから、「セイビアン以外とは話をしない」といって、シカゴ警察西地区に所属するローマンに匹敵する名交渉人を引っ張り出したんだよ。


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