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【斬新な着眼】

悔いなき人生はどうしたら実現できるか?
人生を生け花に見立てることである ―


うまくいかなくなったのはなぜなのか?

2005.7.25

幸運な時に実力を養成しないと離陸できても失墜してしまう

成功をもたらした背景の分析を怠ったまま猛進したために転落してしまった

(高哉) 「治にあって乱を忘れず」という格言を無視して失敗した企業は掃いて捨てるほど沢山あるよ。バブル崩壊後こけてしまった企業のほとんどが当てまる。

 市場が右肩上がりで、供給が需要に追いつかない。市場がこんな状態であると、先発企業を模倣する形で市場に参入しても十分やっていけた。ところが、需要が収縮したり、新規に参入する企業が増加したために供給過剰になると、優良企業しか生き残れなくなる。その結果経営破綻。これがバブル崩壊後こけてしまった企業に共通する現象。

(節子) そんな企業だったら破綻しても仕方がないわね。でも、そうじゃなくてもおかしくなる企業があるわよ。青山ブックセンターなんかそうじゃないかしら?

 六本木の青山ブックセンターはものすごくユニークな書店。デザイナーやカメラマンが喜んで買う専門性の高い書籍を陳列して開店以来5~6年くらいは無借金経営だったそうよ。にもかかわらず、2004年7月に経営破綻したのよ。

 青山ブックセンターの場合は、バブル崩壊後こけてしまった企業とはちょっと違うと思うの。こんなユニークな評判の高い書店がどうして倒産してしまうのかしら?

(高哉) 青山ブックセンターは優れたバイヤーがいたために、第1号店である六本木の青山ブックセンターは大成功の書店となった。その結果、テナントに入って欲しいという要請が色々なところから相次いだ。その結果、量的拡大路線を突っ走り、損益分岐点が急上昇。そうしたところにバブル崩壊が襲ったために経営が破綻してしまったようなんだ。

 今の説明を経営破綻の潜在要因と顕在要因とに分けて図式化すると、次のようになるんじゃないかなぁ。

●経営破綻の潜在要因ができあがった図式

 書店をひとつ出すのに約3億円必要なので、銀行に借金を申し入れた ⇒ 銀行から担保物件を要求された ⇒ 本社ビル用等の不動産を購入した ⇒ バブルが発生したために不動産価値が急増した ⇒ 担保力が拡大したために数多くの書店を開設した。

●経営破綻の顕在要因ができあがった図式

 担保力に見合わせるために借金を返済しなければならなくなった + 2001年にマイカル倒産に伴って出店していたショッピングセンターの集客力ががくんと落ちてしまい、神奈川県の橋本店が赤字に転落してしまった ⇒ 借金返済のために運転資金を流用した ⇒ 支払い遅延が生じてしまった ⇒ 債権者が債権確保のために破産手続きをしてしまった。

(節子)) 経営破綻の潜在要因ができあがった図式はバブル期に躍進した企業に共通した現象ね。あの時は本当にすごかった。それいけどんどん…の企業がひしめいていたものね。

(高哉) 僕の高校時代の同級生に似たような人物がいたよ。積極経営を重ねた結果、地元ではキャバレー王・不動産王になったんだ。ところが、バブルがはじけたために、すってんてんになってしまった。派手な宙返りをして着地したようなものだよ。

 でも、本人は「いい夢を見せてもらった」と思っているんじゃないかな。人生は一度しかないし、あの世に財産を持っていくことができないんだからそれでいいと思うんだ。家族・従業員・取引先に迷惑をかけない限りだけどね。

(節子) バブルって異常な経済状態でしょ? そんな異常な状態がどうしていつまでも続くと思うのかしら?

(高哉) 日本経済はほぼ一直線で長期間成長し続けた。不景気になっても長続きすることなく景気が回復した。その結果、「右肩上がりの成長が当たり前」「経済は循環するもの」と思い込むようになってしまったからだよ。

(節子) 忙しい日常生活を送っていると固定観念が染み付き、この固定観念が見る目を曇らせて環境変化適応力を失わせてしまうわけね。人間が本来持っている環境適応本能をうまく生かせないのかしら?

(高哉) それがなかなか難しいのが現実なんだ。民間人の起業・新分野開拓を支援する、中央政府筋の責任者と僕の講演テーマについて話し合った時のやりとりが参考になると思う。

 僕が「環境変化適応をテーマにしましょうか?」と言ったら、その責任者は「環境変化適応の必要性を認識している人なんていないんじゃないですか?」と返事してきたんだ。僕は吃驚したけど、その後この責任者の言葉に納得するようになった。

 テレビの報道番組で中小企業の社長が経済担当大臣に「我々は毎日まじめに仕事をしている。この景気の悪さを何とかして欲しい。そろそろトンネルの先を明るくしてくれないと困る」と言って詰め寄るのを見たんだ。

(節子) そのどこに納得したのかしら? 日本の社会には「日本は蛸壺型社会である ⇒ 社会のほぼ全セクターの役割が固定されている ⇒ 環境変化なんか考えようがない」という図式が根付いていることを改めて認識したということかしら?

(高哉) その通りだよ。中央官僚が国民を区分けして樽の中に押し込み、中央官僚が沢山の樽を転がしてきた。こういう時代がずーっと続いていたんだから仕方がないと言えば仕方がない。

(節子) そうか…。うまくいかない夫婦が増えているのも同じことね。夫は所属組織が擬制的家族なので、「会社人間」でなくちゃならないし、そうあることが結構心地よかった。一方、妻は三食昼寝つきの生活が保障され続けていた。したがって、男と女が向き合わなくてもなんとなくうまくいっていた。なんとなくだけどね…。

 ところが、環境が様変わり。男と女が向き合わなければならなくなった。このことに気づかないし、仮に気づいても経験がないので途方に暮れてしまう。これが中高年に達した多くの日本の夫婦の実態じゃないかしら?


陳腐化した成功方程式に固執したために、環境変化が生み出す連鎖反応に適応できなかった

(高哉) とは言ってもこのホームページの異変待ち受けにあるように日本でも環境変化に適応したために大をなした企業は少なくない。

(節子) 消費財の大量生産の時代を迎え、大量の広告投資が行われたために、消費者は商品のことを店外でしっかりと認識できた。同時に大量販売の必要性が生まれた。かくしてセルフ・サービスのスーパーが誕生。

 早朝族や深夜族の発生など消費者の生活様式が多様化し、必要な時に必要なモノを買いたい。価格よりもこのような利便性に応えて欲しい…という消費者が増え、従来型の店舗を駆逐する形でコンビニ時代を迎えた。

こういった小売業界の進化の歴史がそうなんでしょ? でも、最近の環境変化はもっと複雑になっているんじゃないかしら? 昔は中央線の三鷹駅周辺に便利な店が結構あったのに最近はそうじゃないの。だから、隣の駅の吉祥寺に行かなければならないことがしょっちゅうなのよ。これなんかいい例じゃないかしら?

(高哉) 良い指摘をしてくれた。「ヒロタのシュークリーム」で親しまれてきた洋菓子のヒロタの経営がおかしくなり2001年10月に民事再生法の適応申請をすることになってしまったのは、環境変化が複雑になったからなようなんだ。

(節子) 「シュークリームはヒロタ」ではなくなったのは小売業界でスーパーやコンビニがのしてきたからでしょ? シュークリームを買うために洋菓子専門店に行くようなことがなくなったし、スーパーでは山崎製パンのシュークリームが目立つものね。どうしてこうなっちゃったのかしら? 理路整然と説明してくれないかしら?

(高哉) 「ヒロタのシュークリーム」が地盤沈下してしまった様子を図式化すると、次のようになるんじゃないかなぁ。

 地域社会住民のニーズを踏まえて総合的品揃え志向が強いスーパーやコンビニが津々浦々に店を構えるようになった ⇒ 山崎製パンといったような大手パンメーカーがスーパーやコンビニでもシュークリームを売るようになった

 ⇒ 物流コスト面で不利な洋菓子メーカーのシュークリームはスーパーやコンビ市場で負け組みとなってしまった。と同時にわくわく感を失ったシュークリーム専門店の売り上げが急減した。(「洋菓子のヒロタ」も例外ではなかった)

 ⇒ 他の洋菓子メーカーはできたて焼きたてのシュークリームで失地を回復させた ⇒ 工場生産に固執し続けたヒロタはシュークリーム専門店市場でも負け組みとなってしまった。

 その上、量販店市場と専門店市場の両方で負け組みとなったヒロタは百貨店そごーの経営破綻という決定的ダメージが加わった。

(節子) 量販店市場と専門店市場の両方で負け組みとなったヒロタは誘われるままに新規出店をしてきた百貨店そごーの経営破綻という決定的ダメージが加わったというわけね。

 個人でも同じね。先を読んだ行動をしなかったために取り返しがつかなくなった人って結構いるもの。

 美術大学でデザインの勉強をして広告会社に就職。スター的存在だった人がパソコンの習得を拒んだためにとうとう雑用係りに追いやられてしまった人がいるのよ。

 コンピューター・グラフィックは美術大学で学んだデザイン技術よりも企業のニーズに合致するんだから仕方がないわよね。 世の中の不確実性は高まる一方でしょ? 「習慣の壁を乗り越える方法は心理学にはない」なんてことに甘んじていたらとんでもないことになってしまうわね。この壁は乗り越え可能なのに…。(詳しくは ⇒ 『神風が吹く時期の予測』)

 (将来を見越して習得した技術が優位性を失った他の例 ⇒『自由貿易の積極的推進は米国の強みを損ないかねない』)



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